橋本愛(C)朝日新聞社
橋本愛(C)朝日新聞社

 NHK大河ドラマ「青天を衝け」のヒロイン・千代を橋本愛(25)が演じている。4月4日放送の第8話終盤では、吉沢亮扮する渋沢栄一と祝言をあげ、花嫁衣装を着た。

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 この回の序盤では、千代との結婚を賭けて栄一とその従兄の喜作(高良健吾)が剣道で対決。栄一を慕う彼女は黙って見守るが、ついに思い余って「栄一さん、気張って!」と叫ぶ。ここまでの「溜め」の演技がなかなかよかった。無口で不器用な役が似合う彼女の持ち味がよく生かされていたのだ。

 ダブル主人公的な構造を持つこのドラマは、草なぎ剛が演じる徳川慶喜のパートに比べ、真の主役であるはずの栄一パートが地味だともいわれているが、彼女はそこに貴重な華を添えている。若者たちのマドンナ的なポジションにもしっくりとハマっていた感じだ。

 ただ、これはちょっと意外でもある。彼女は同世代より、もっと上の世代に人気がある印象だったからだ。

 たとえば、今年3月にリリースされたトリビュートアルバム「筒美京平SONG BOOK」のなかで、彼女は「木綿のハンカチーフ」を歌った。オリジナル(太田裕美)のテンポを思い切り落とし、演奏も薄くしたバラードスタイルの新バージョンで、歌唱力より女優的な表現力で切々と歌い上げている。

 2月19日には「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)に登場。トリビュート企画を仕切ったプロデューサー・武部聡志のピアノ弾き語りでテレビ初披露を行った。歌う前に彼女は、カバーすることになった経緯について、

「私の歌がまさか収録されるなんて絶対ないだろうから、思い出作りとして一回歌ってみようと思ってやったら、そのデモテープを聴いてくださった武部さんがすごくいいと言ってくださって、まさかまさか、でした」

 と、コメント。それをうれしそうに見守る武部という構図もいかにもだったが、そのあと、司会のタモリに話題を振られたいきものがかり・水野良樹はこんな発言をした。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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