「例えば、化粧品に使用されているポリエチレングリコールがワクチンのアレルギーと関連する可能性が指摘されています。少なくとも子どもの順番になるときは、大人の接種が完了し、かなりのデータが上がってきていると思いますので、不安材料は解消していくと思います。また、小児科は予防接種のインフラが行きわたっているので、その機会が来れば非常に迅速、かつ安全に接種が進むのではないかと思っています」

――親としてできることは何でしょうか。
 
「子どもの立場から言えば、しばらくは今まで通り、感染対策をとっていくしかないということになりますが、大人は“わが子を守る”、ひいては“すべての子どもを守る”ためにも、その順番が来たら接種をすみやかに受けてほしいですね。ワクチン接種は類を見ない規模感ですから、集団免疫を獲得するといわれる7~9割の人への接種が完了するまでに、どのくらいかかるか予想ができないのが本当のところです。ただ、子どもの感染経路の多くは父親からというデータがはっきり出ていますし、接種が大人より子どもが優先される日は来ないので、親としては自分が打てるタイミングが来たら接種してほしいです」

(取材・文/スローマリッジ取材班 時政美由紀)

※1 Considering Mandatory Vaccination of Children for COVID-19. Pediatrics. 2021; e2021050531.
※2 No evidence of secondary transmission of COVID-19 from children attending school in Ireland, 2020. Euro Surveill. 2020; 25: 2000903.
※3 The role of children in the transmission of SARS-CoV2: updated rapid review. J Glob Health. 2020; 10: 021101.
※4 Minimal transmission of SARS-CoV-2 from paediatric COVID-19 cases in primary schools, Norway, August to November 2020. J Glob Health. 2020; 10: 021101.
※5 Should children be vaccinated against COVID-19 now? Arch Dis Child. 2021; archdischild-2020-321225.

岡本光宏(おかもと みつひろ)/兵庫県立丹波医療センター小児科医長。2009年奈良県立医科大学医学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より現職。専門はアレルギー疾患。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診療している。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。3児の父として、子育てにも積極的にかかわっている。著書に、『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。Twitter/@pediatrics_jp