当然、番組内容を事前に知っているメンバーは、解散発表とオンエア時期を合わせるべく、スタッフと相談を重ねたのだろう。もちろん、彼らからファンの皆さんへ向けた“想い”である。

『RIDE ON TIME』最終回のメインは“聖地”国立代々木競技場第一体育館から配信された「V6 FOR the 25th anniversary」だった。準備の様子からリハーサルや本番の歌唱シーン、そして大勢のファンの皆さんからサプライズでのメッセージが届き、それを読み終えたメンバーが感想コメントをするところまでをカメラは映し出した。そこで本当にたくさんの“答え合わせ”ができた。

 改めて歌詞の一つ一つをじっくり追わせてもらった『クリア』『Full Circle』、そして『It’s my life』は、いまの彼らの心情をストレートに紡いでいる気がしたし、ライブを作り上げるにあたり、メンバーが均等にアイディアを出し合い、その全てに他のメンバーが“聴く耳”をもっている様子も見せてもらい、改めて6人の絆と信頼し合う関係性がわかった。

 新曲のリリース時、いまも全国のテレビ局にコメントをくれるV6のVTRでは井ノ原快彦が“まわし役”を務め、結果、99%、井ノ原が話して“終了”というケースが少なくないのだが、ライブは別物だったのである。これは、25年以上、共に歩んできたメンバーならではのことだし、「仲間(=森田剛)の提案を他の5人は止めることはできません」とした坂本のコメントにも繋がるものだ。

 そして、メンバーの一挙手一投足を持参したカメラに収め続けていたのは岡田准一。岡田と言えば、私には忘れられないインタビューがある。2014年夏、主演していた大河ドラマ『軍師官兵衛』(NHK)の視聴率がV字回復したことが話題になっていたタイミング。そしてグループとしては20周年目前だった。岡田は「一般企業に同期入社した男性社員が20年も同じ部署で働き続けるなんてことは、まずないので」と言い、自分の大切な居場所として「V6」を挙げたのである。俳優として既に確固たる地位を築いていた岡田から、そのようにストレートな“グループ愛”が出てきたことに驚いた記憶がある。 

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新幹線で一人号泣した三宅健