「僕が監督をやることの良さは外部から新しく入る人とは違い、2年間チームを見て来たものをそのままチームに移行できるということだと思うんですね。そこを球団と僕が望みました。監督になったら、この選手はこういうシチュエーションで使ったら力を発揮する選手だなとか、そういう見方は生かせると思います」(石井GM兼監督/12月14日付 Number Web)

 19年はAクラス入りしながら、「僕の中では3段階に分けたらBクラス」という判断での監督交代だった。しかし豪華戦力で臨んだ昨年は最後まで歯車は噛み合わず、結果的に4位に後退した。

 監督を毎年コロコロ交代することに批判も集まっているが、現場の選手には影響はないのだろうか。

「選手を含めた現場は、監督の交代を気にしていない。核となる選手は代えず、新監督の色を出して行くことがほとんど。選手も自分自身が結果を残すことが、自らの給料にも跳ね返って来ることはわかっている。個々の結果が積み重ってチームワークになり勝利につながる。選手は置かれた環境で結果を出すだけで、監督が誰であろうが関係ない。しかもチームを編成し環境を作った本人(=GM)が監督になれば、もっとわかりやすい」(セ・リーグ球団OB)

 選手は自分自身が結果を残すことに注力する。プロ野球選手が個人事業主と言われる所以でもあり、それがチームの勝利にも繋がって行く。かつてイチローも同様のことを語っていた。どちらかというと個人競技の要素も強い野球では、監督が代わっても選手自身が自分のプレーをすれば、結果に繋がっていくことも大いにあり得る。

 また石井自身、『GMの役割はオーナー対応』という考えを持っている。楽天の場合、三木谷浩史オーナーの意向に沿い、石井GMがチーム構想を描いて選手を集める。その下で現場の采配を振るうのが監督というトップダウン的な発想だ。監督の方針ありきで選手を集めたわけではないため、監督が交代しようがチームの戦い方に大きな影響は及ばない。

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オリックスは“別の方法”で失敗?