今オフに巨人から戦力外となった宮国椋丞 (c)朝日新聞社
今オフに巨人から戦力外となった宮国椋丞 (c)朝日新聞社

 今オフに巨人から戦力外となった宮国椋丞。12月7日に行われたトライアウトに参加するなど、現役続行を希望しているが、今のところ獲得に手を挙げる球団は現れていない。

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 名門の開幕投手まで務めた右腕は、未来のエースとして将来を嘱望されたが、目立った実績を残すことができず巨人を去ることになった。しかし沖縄期待の星が、球界や地元へ残した貢献度は高い。28歳と若い右腕には今後の可能性も残されている。

「宮国ともいろいろ話をした。選択肢は与えたけど、彼が自分でそっち(現役続行)を選んだ。やっぱり前途洋々たれと。甲子園の行進曲じゃないけど、栄冠は君に輝く、そういう気持ちを持って次のスタートを切ってほしい。ピンチはチャンスであると」(巨人・原辰徳監督)

 宮国は今年、1軍で21試合に登板(うち1試合は先発)し、0勝0敗、防御率5.33という成績だった。右肩のコンディション不良で10月上旬に登録抹消になってはいたが、順調に回復しており、来季へ向けジャイアンツ球場で精力的にトレーニングをする姿が見られていたが……。

「(戦力外通告は)恥ずかしいことでも何でもない。まだ若いし、これから第二の人生をスタートできる。血をたぎらせながら、一生懸命かけることができた野球に対して、志半ばで自分の意思と反して決断されるのがプロ野球。よしっ次、また血が煮えたぎるほどの仕事を見つけよう、生き方を見つけようということが大事。戦力外通告は悲しいニュースのように扱われるけど、決して悲しいニュースではない。大きなチャンスであると」(巨人・原辰徳監督)

 リーグ2連覇を果たしたチームの中で今季は主に1軍でプレーした宮国。近年はリリーフとして起用され、成績的に際立つものはなかったが、前政権時代から原監督の信頼は厚いと思われていただけに、戦力外には驚きの声も上がった。

 沖縄・糸満高から10年ドラフト2位で巨人入り。2年目となった12年4月8日の阪神戦でプロデビューし、初先発初勝利をマークするなど、その年6勝(2敗)をマーク。翌13年にはWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)開催なども重なり、エースの内海哲也(現西武)の代役として開幕投手を務めた。20歳での開幕投手は桑田真澄(88年)以来となった。だがその後は伸び悩み、15年シーズンからはブルペンに回り、主に中継ぎでの登板となった。

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