アース製薬によると、11月のゴキブリ商材の売り上げが前年同月比で4割以上増えたという。「背景の分析はまだ」(同社)としているが、すでに変化を感じている人が出てきているのかもしれない。

 他にも、巣ごもり生活によってクロゴキブリを招く要因は増えている。インターネット通販の利用が増えた家庭も多いと思うが、問題は商品が梱包されている段ボール。この段ボール紙の溝が、クロゴキブリの格好の産卵場所になるというのだ。

「寒い環境であれば、春まで卵は孵化しません。ただ、この冬は暖かさが保たれた家では、孵化してしまうかもしれません」(同)

 クロゴキブリのメスは一生で20回卵を産む。その卵にはさらに平均24個の卵が入っており、一匹で約500匹の子孫を残す。夜行性で、日中は家具や家電棚と壁の隙間など、狭い場所にいることが多く人間には見つからない。雑食で、前に食べたものと違う餌を食べたがる“グルメ”だが、たったの水1滴で1カ月生きることもできる。高い位置から低い位置へ滑空もできる。

 その生命力には驚かされるが、この冬“彼ら”に遭遇しないためには、どのような対策が有効なのか。

 有吉さんによると、

◇段ボール、特に暖かい部屋にあるものはすぐに処分する
◇寝る前にゴキブリが良く出るシンクの水分を拭く。水分はゴキブリの餌になる
◇食べ物は冷蔵庫にしまい、食品がこびりついた食器も放置しない
◇食器棚の引き出しや台所のシンク下をよく見てゴキブリのふんを見つけたら、そこはゴキブリの通り道なので「毒エサ剤」を置く

 などが有効だという。

 近年は、もともとは沖縄などに生息する「ワモンゴキブリ」が東京や大阪の都市部のビルで見られるようにもなり、生息域に変化がみられるという。

「日本の温暖化が加速し、その中で家も暖かくなっています。このままでは、ワモンゴキブリや飲食店に多いチャバネゴキブリが、一般のマンションなどに住みついてしまう日が来るかもしれません」(有吉さん)

 ゴキブリが喜ぶ家にしないために、一年中の対策が必要なのかもしれない。(AERAdot.編集部)