「大学の先輩である高橋由伸(元巨人)と似たタイプ。俊足強肩を誇り、外野守備でも十分通用すると思われていたが、プロでは故障に悩まされた。守備力が大幅に下がる原因となった右肩だけでなく、死球やスライディングでの負傷もあった。学生時代はケガに強い印象があったが、プロは環境が違うのか、本人の管理不足なのか。打てなくても元気ならば1軍戦力にもなれたと思うが、それも実力の1つ」(アマチュア時代から知るスポーツライター)

「イメージはしてたんですよ。全てはプロ1年目の春季キャンプでしたね。イメージのなかではアマチュア時代同様、キャンプのなかで自分の打撃、守備をつくりあげてオープン戦、公式戦を迎えるのかなと思っていたんです。でも実際には自分の時間なんて存在しなかった。全てを見られてあちらこちらでメニューをこなし、個人メニューをやる体力はなかった。1日を必死にこなすので精一杯。その時点で自分を見失っていましたね。他人の目を気にせずにやれていたら、また違う結果が出ていたのかなと」(12月8日付・夕刊フジ)

 ケガや故障だけが原因ではない。人気球団の重圧、結果が出ないことへの焦燥感。多くのことが重なり、平常心を奪われ自分を見失ってしまった。プロで生き残るためは、そういうものに挫けず、めげない精神力も必要になる。周囲から『甘過ぎる』という声が聞こえて来るのもわかるコメントである。

「このたびは、本当に多くの人に迷惑をかけてしまったという思いがあるので、プロ野球選手である以上、それはグラウンドで取り返していくしかないと思っていますし、このような状況にもかかわらず心配の声、応援メッセージをくれたファンの方々に対しても、プロ野球選手としてこれまで以上に真摯に向き合って、その姿勢をプレーで、示していくしかないかなと、そういうふうに思っています」(4月23日・伊藤)

 3月14日、コロナ禍の自粛ムードが漂う中、大阪市内での食事会に参加。藤浪晋太郎、長坂拳弥とともに新型コロナウイルス感染した。発覚前も2軍に帯同しており、練習試合で接触した対戦相手等にも多大な迷惑をかけることとなった。また過去には“二股疑惑”が報じられるなど、グラウンド外での行動が問題視されることがあった。選手としての可能性、プロ選手としての社会的影響力。総合的に考慮した結果、『球団としてこれ以上は厳しい』という判断だったことが予想される。阪神においてプレーで信頼を取り戻すことはできなかった。

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伊藤獲得に手を挙げる球団はあるのか…