MCだけでなく、コメンテーターに関しても視聴者側の変化があるという。

「中高年のお笑い芸人も多数コメンテーターとして出演していますよね。彼らは情報バラエティということもあって、わざと少し乱暴な発言をして番組を盛り上げようとすることが少なくありません。『ぶっちゃけ○○』や『逆に○○はどう思うか』みたいなレトリックで論点をすり替えるような発言は、同世代には受けるかもしれませんが、若い人からしたら白けてしまうようです。時代錯誤な感覚を“当たり前”と押しつけているように見えるんでしょうね」(放送作家)

■「サンジャポ」は若返りで視聴率が急上昇

 こうしたおじさん目線の感覚は、番組構成にも影響を与えている。「噂の!東京マガジン」(TBS系)で30年続く名物コーナー「やって!TRY」の様変わりだ。同コーナーは道行く若い女性に定番料理を作らせ、レギュラー陣が調理法や失敗作を嘲笑するという内容だった。しかし、女性だけに料理スキルを求める風潮に批判が殺到。現在では男女区別なく、出演交渉をするようになったのだ。

 一方で、すでにおじさんコメンテーターを“排除”で成功している番組もある。

爆笑問題がMCを務める『サンデー・ジャポン』は、かつて『ワイドナショー』に僅差で勝るくらいの視聴率だったのに、7月以降は2桁で推移し、完全に引き離しているのです。その理由は、デーブ・スペクターやテリー伊藤などのおじさんコメンテーターの出番を少なくし、藤田ニコル、みちょぱや若いグラビアアイドル・タレントが入れ替わりで出演したり、さらに、YouTuberなども積極的に起用するスタイルを貫いているから。おじさんたちの意見に対して猛反論する姿がたびたび話題になりますが、若い視聴者にとっては痛快なのかもしれません。また、おじさんコメンテーターがたじたじになる様子は、若い年代以外の視聴者にもウケているようです」(同)

 TVウオッチャーの中村裕一氏は、そういった昨今の傾向についてこう分析する。

「テレビ番組の中でも、特に時間が限られている生放送ではダラダラまとまりのないコメントをするよりも、意見を『言い切る』ことが必要です。そのため、短くスパッとコメントできるスキルを持ったMCやコメンテーターがこれまで重宝されてきました。ただ、この場合、一刀両断の爽快感がありますが、悪く言えば異なる意見を受けつけず、独善的になりやすい。これは本人の問題というより、番組を制作するスタッフ全体の問題も多分にあると思います。今後求められるのは、物事を単純に二分化することではなく、多様な意見を交えた進行でしょう。小倉智昭さんもそんな時代の流れを感じ取り、ここらが潮時だと思ったのかもしれません。大リストラが進めば今後は男女問わず、ハラスメント気質を匂わせるMCおよび番組作りは改善されていくでしょう」

 世間的にセクハラ/パワハラが問題化する中で、何を、どう伝えるのか、そしてバックヤードでどう振る舞うべきなのか、その辺の感覚を見誤ると、バッシングの対象となり果てはお払い箱にされてしまいそうだ。(今市新之助)