この制度は一度費用を病院に支払い、後から健康保険組合などに申請して受け取る流れとなりますが、もっと簡便な方法としては「出産育児一時金の医療機関等への直接支払制度」があります。

 これは健康保険組合などから直接、病院に出産育児一時金が支払われるもので、加入者は42万円を超えた額のみ支払います。直接支払制度の申し込みは病院の窓口です(この制度に対応していない病院もあるので、事前に確認が必要です)。

 また、直接支払制度を利用して、もし出産費用が出産育児一時金より少なかった場合は、健康保険組合や協会けんぽなどへ申請することにより差額が支給されます。

■産休を取ること自体は法律で保障。でもその間の給与は?

 企業は「産休」を必ず認めないといけません。

 労働基準法では、出産予定日6週間前(双子以上の場合は14週間前)から自分で休みを決めることができ(体調が安定しており、労働者本人が望めば出産ぎりぎりまで働くことができます)、また産後8週間は働かせてはいけないと定められています(なお本人が復帰を希望し、支障がないと医師に認められた業務については産後6週間から働くことが可能)。

 このように会社は産前産後の休みを必ず認めないといけないのですが、実は産休期間中に給与を支払う義務はありません。そのため、勤めている会社が独自に産休中の給与制度を定めているような場合以外は、約3カ月間収入がストップすることになります。

 そんな収入の不安に対応する社会保障が「出産手当金」です。

 会社の健康保険加入者であれば、おおむね標準報酬月額の平均の3分の2を休んだ日数分受け取ることができます。受け取れるのは人により違いがありますが、出産予定日に生まれたとすると98日分(双子以上の場合は154日分)。予定日より過ぎた場合はその分も出産手当金の日数に入ります。

 手続きは医師に「健康保険出産手当金支給申請書」に必要事項を書いてもらい、手当金入金口座など本人記載欄に記入し事業主に提出します。また、退職後であっても一定の条件を満たしている場合(退職までに1年以上被保険者期間があることなど)は、出産手当金を申請できます。

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国民年金加入者も産休期間は保険料の支払いが不要に