正社員だけでなく派遣やパート・アルバイトでも健康保険の加入者であれば受け取ることができます。ただ残念ながら、自営業者やフリーランスの人が加入する国民健康保険は今のところこの制度を設けていません。

■2019年から国民年金加入者も出産前後の産休期間は保険料の支払いが不要

 産休期間中は、社会保険の支払いについてもサポートされています。先ほど説明した出産手当金と同じ日数の間、健康保険・厚生年金保険の保険料は全額免除されます。

 免除期間中も被保険者資格に変更はないので保険証は使用できますし、年金額を計算する際は、この免除されている間も保険料を納めた期間として扱われます。
 
 国民健康保険の加入者については、現在のところ免除制度はなく、産前産後の時期でも保険料を納める必要があります。

 ただ国民年金保険料については、最近まで国民健康保険と同じく免除が認められていませんでしたが、2019年4月から厚生年金保険と同様に、認められるようになりました。

 もちろん免除の期間中も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。ただし、必ず自治体の国民年金担当窓口に免除についての届け出をする必要があります。届け出は出産予定日の6カ月前から可能です。国民年金保険料を前納している場合は産前産後期間の保険料が還付となります。

 出産や子育てに関する社会保障は育休や不妊治療などについてまだ数多くあります。次回も損をしないための社会保障の基礎知識について、引き続き解説したいと思います。

(構成・橋本明)

※本連載シリーズは、手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、2020年8月18日時点での内容となっています。

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小泉正典

小泉正典

小泉正典(こいずみ・まさのり)/特定社会保険労務士。1971年、栃木県生まれ。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士小泉事務所代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。『社会保障一覧表』(アントレックス)シリーズは累計55万部のベストセラー

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