「お笑いの日2020」の総合MCを務めるダウンタウン(C)朝日新聞社
「お笑いの日2020」の総合MCを務めるダウンタウン(C)朝日新聞社

 9月26日にTBSで『お笑いの日2020』という8時間の生番組が放送される。ダウンタウンが総合MCを務め、芸人がネタを披露する企画だけが行われるのだという。

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 芸人が音楽を使ったネタを見せる「音ネタFES」、笑福亭鶴瓶と今田耕司がMCを務める「ザ・ベストワン」、コント日本一を決める「キングオブコント2020」といった企画が番組内で展開される。

 TBSでは『音楽の日』という音楽番組の特番が毎年放送されていた。『お笑いの日』はそのお笑い版ということになるのだろう。

 フジテレビの『FNS27時間テレビ』など、バラエティの大型特番はこれまでにもあったが、ネタ番組だけで8時間の生放送を行うのは異例のことだ。

 この番組が放送される背景には、ネタ番組の需要が高まっている、ということがあるのではないか。昨年末の『M-1グランプリ』が空前の盛り上がりを見せたことで、芸人のネタを求める世間の声がいつになく大きくなっている感じがする。

 テレビの世界では、ネタ番組はなかなか数字が取れないと言われていた。年に一度行われる『M-1グランプリ』の注目度は高いものの、ゴールデンタイムではレギュラーのネタ番組は存在しない。それだけ数字が期待できないというイメージが強いのだ。

 お笑い界では、2007~2010年頃に「ネタ番組ブーム」があった。『エンタの神様』『爆笑レッドカーペット』などのネタ番組がゴールデンタイムで放送され、高視聴率を獲得していた。

 この時期には毎週のように新しい芸人が世に出ていたのだが、2010年頃からネタ番組が立て続けに終了して、ブームが終わってしまった。その後、テレビではネタ番組が求められていない時代が長く続いていた。

 最近では、前述の『M-1』の盛り上がりや、第七世代芸人の活躍にも後押しされて、深夜帯を中心にネタ番組が少しずつ増えてきていた。

 フジテレビの『ENGEIグランドスラム』、TBSの『ザ・ベストワン』、日本テレビの『エンタの神様』など、特番という形でゴールデンタイムにネタ番組が放送されることもある。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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ネタ番組の傾向も多様化