健康な歯でも生理的な動揺は起こるが、歯周病で歯肉や歯槽骨の支えが減ると、動揺はさらに大きくなる(イラスト/渡辺裕子)
健康な歯でも生理的な動揺は起こるが、歯周病で歯肉や歯槽骨の支えが減ると、動揺はさらに大きくなる(イラスト/渡辺裕子)
(イラスト/渡辺裕子)
(イラスト/渡辺裕子)

 最近、歯が揺れるように感じるようになった人はいませんか? 健康な歯でも生理的な動揺は起きますが、歯周病で歯肉や歯槽骨の支えが減ると、動揺はさらに大きくなります。日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会は、国民に歯周病について正しい情報を伝える公式本『続・日本人はこうして歯を失っていく』を発刊しました。本書から、歯周病の検査について抜粋して届けします。

【表】歯の動揺度の判断基準とは?

*  *  *

 歯周組織のほとんどは肉眼では見えない部分にあるため、さまざまな方法で検査をする必要があります。検査には歯肉を触るものも含まれるため、腫れや痛みなどがひどい場合は応急処置(プラークコントロールや抗菌剤の投与など)をおこない、落ち着いてから実施します。

 治療を開始した後も「治療効果が上がっているかどうか」を確認するために検査をします。さらに治療が一段落した後もメインテナンスの際に定期的に検査をおこない、「再発をしていないか」を確かめていきます。

 代表的な歯周病の検査について、解説します。

■代表的な検査
 
(1)問診
(2)プラークの付着を確認(おもに赤色の染色液でプラークを染めて%で表す)
(3)歯周ポケットの検査(プロービング)
(4)歯の動揺度(ゆれ)の検査
(5)X線検査

(1)問診
 患者さんに受診の理由を確認し、気になる症状や異常について聞きます。問題の起こっている部位やその状況がいつ頃から起きているかなどを聞くことも大事です。

 例えば骨粗鬆症の患者さんの場合、服用している薬によっては、抜歯や歯周外科治療ができません。場合によっては、主治医に連絡をとり、薬の種類を確認することもあります。

 また、家族に歯周病の人がいるかどうかや、喫煙の習慣があるかどうか、喫煙している場合は1日あたりの本数、ストレスの状況なども聞き取ります。歯周病を悪化させるリスクがある場合、できるだけ軽減するようにアドバイスをします。喫煙者には、歯周病治療の効果が十分に得られないため、禁煙することをすすめます。

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