そして、東京ドームで最後の天井直撃弾は、同年9月16日。またしても横浜戦だった。森中の140キロをジャストミートした打球は、右翼上空の天井で跳ねたあと、スタンド最前列にストン。「天井に当たった瞬間、ヒヤッとしました」と苦笑した松井にとって、これが自己新のシーズン43号になった。最終的に50号の大台に乗せた松井は、“狭い”ドームに飽き足らず、さらなるステップアップを求めて、同年オフ、ヤンキースにFA移籍した。

 日本人離れしたパワーで松井に引けを取らないのが、柳田悠岐(ソフトバンク)だ。

 16年8月20日の日本ハム戦(札幌ドーム)、柳田は1回2死、高梨裕稔の高め直球を一、二塁間の頭上に高々と打ち上げた。

 セカンド・田中賢介、センター・陽岱綱、ライト・淺間大基が上空を見上げながら打球の行方を追うなか、高さ63メートルの天井に吸い込まれた打球は、数秒後、セカンド付近に落下。田中賢が捕球の衝撃で倒れ込みながらも、ノーバウンドキャッチに成功した。

 同球場のローカルルールでは、打球がフェア地域上の天井に当たったり、隙間に入ったりして、すぐに落ちてきた場合はインプレーになるので、通常なら二飛でアウトのケース。

 だが、隙間やスピーカーに挟まった場合のボールデッドの特例が適用され、審判団は協議の結果、二塁打と判定した。

 これだけでも珍事中の珍事なのに、5回1死、まさかの珍事が再び起きる。

 柳田が流し打った打球は、三遊間の頭上に高々と上がり、再び天井の中に入り込んだあと、数秒後に落下して、サード・レアードのグラブにスッポリ収まった。そして、今度もすぐに落ちてこなかったことから、認定二塁打となった。

 今年7月18日のオリックス戦でも、京セラ大阪ドームの右翼スーパーリング外側の照明を直撃する推定飛距離150メートル超の認定本塁打を放ち、新たな伝説を打ち立てた。

 国際試合で“異次元の打球”を放ち、度肝を抜いたのが、日本ハム時代の大谷翔平(現エンゼルス)だ。

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大谷が披露した規格外のパワー