「はいてますよ」は子どもにも大人気だったとにかく明るい安村(C)朝日新聞社
「はいてますよ」は子どもにも大人気だったとにかく明るい安村(C)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレビ業界でも出演者同士が別々の場所にいる状態でリモート収録が行われるのがすっかり一般的になってきた。

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 コメンテーターがニュースに対して順番にコメントをするような情報番組では、リモートによる撮影が行われていてもそれほど違和感がない。だが、間合いや空気を読む技術が重視されるお笑い番組は軒並み苦戦している。リモート収録では芸人たちが本来の持ち味を出し切れないことが多いのだ。

 そんな中で、意外な芸人が注目を集めている。「安心してください、はいてますよ」のネタで一世を風靡したピン芸人のとにかく明るい安村だ。

 彼は『有吉の壁』(日本テレビ系)のリモート企画で、自宅の部屋で豪快に頭から大量の水をかぶるパフォーマンスを披露して、有吉弘行を笑わせた。このときの奮闘は業界内でも評判になり、伊集院光も自身のラジオ番組で彼を絶賛した。

 また、5月22日放送の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日系)でも、マツコ・デラックスが自粛期間中に安村にすっかりハマっていることを告白。「なんでもっと人気出ないの」と有吉に問いかけるほどだった。有吉に気に入られ、伊集院やマツコも虜にする安村の魅力とは何なのか。

 安村はもともと、幼馴染の栗山直人とのお笑いコンビ「アームストロング」として活動していた。アームストロングは若手芸人の登竜門と言われる『NHK新人演芸大賞』で大賞を受賞したこともあり、実力派の芸人として知られていた。だが、大きく飛躍するきっかけをつかめないまま、2014年にコンビを解散してしまった。

 解散後、安村は「とにかく明るい安村」という芸名でピン芸人として活動を続けることにした。たるんだボディを生かして、パンツ1枚で次々に全裸に見えるポーズを取るネタを発明した。これが大ヒットして、2015年にはピン芸人の大会『R-1ぐらんぷり』で決勝に進み、「ユーキャン新語・流行語大賞」でもトップ10にノミネートした。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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