運転開始が待ち遠しい!次期型東海道新幹線N700S”空気抵抗”との闘いに大きな進化が (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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運転開始が待ち遠しい!次期型東海道新幹線N700S”空気抵抗”との闘いに大きな進化が

N700Sのココがすごい(1)

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高橋政士dot.#鉄道
トンネル微気圧波対策として、0系(奥)、100系(中央)よりも低く構えた300系(手前)。この低さで今度は尻振り現象が発生した (C)朝日新聞社

トンネル微気圧波対策として、0系(奥)、100系(中央)よりも低く構えた300系(手前)。この低さで今度は尻振り現象が発生した (C)朝日新聞社

先端をやや高くして尻振り現象を抑えつつ、先頭部分が徐々に変化するような形状にして微気圧波問題の改善を図った700系 (C)朝日新聞社

先端をやや高くして尻振り現象を抑えつつ、先頭部分が徐々に変化するような形状にして微気圧波問題の改善を図った700系 (C)朝日新聞社

既存のN700A(奥)と比べ、N700Sでは前部標識灯(前照灯)まわりのエッジが立ち、高さもやや高くなった (C)朝日新聞社

既存のN700A(奥)と比べ、N700Sでは前部標識灯(前照灯)まわりのエッジが立ち、高さもやや高くなった (C)朝日新聞社

N700Sのパンタグラフ(手前)は、N700Aのものよりも(奥)小型化され、架線と接触する集電シュウのスリ板部分は10枚分割に改良された (C)朝日新聞社

N700Sのパンタグラフ(手前)は、N700Aのものよりも(奥)小型化され、架線と接触する集電シュウのスリ板部分は10枚分割に改良された (C)朝日新聞社

■微気圧波と尻振り現象の解決を図った700系

 300系の経験から、先端部分を低い位置にすると空気の引きはがされ方が顕著になり、尻振り現象が発生することが分かったため、700系(1999年)では従来のように先端部分を高い位置とした設計に変更された。微気圧波問題についても、先頭部分が徐々に変化するような形状になり軽減された。「エアロストリーム型」と命名されたこの形状は、その見た目から「カモノハシ」や「革靴型新幹線」などとも呼ばれた。

 700系登場時点では東海道新幹線区間の最高速度は300系と同じ275km/hで、それをさらに向上するため、「最新技術という、おもてなし」というコンセプトでN700系(2007年)が開発された。デジタル式のATC-NSの位置情報を利用し、空気バネを利用した車体傾斜装置を採用、最高速度が東海道新幹線区間において285km/hと向上した。速度の向上に伴って微気圧波対策も強化され、先頭部分は「エアロ・ダブルウィング形状」とし、先頭部分の絞り込み部分は、700系の9.2mからN700系では10.7mと長くなった。

 さらに先頭車は後位(後部)寄りデッキ付近は中間車と同じ3,600mmの車体高となっているが、それより前位(先頭部分)寄りを3,500mmと低くして、車体断面積の変化を緩やかにすることで、微気圧波のより一層の低減を図っている。

 N700系はその後、ブレーキ装置など走り装置の改良を行ってN700A(2013年)と進化し、微気圧波対策も完成した感があったが、実はまだ尻振り現象は発生していて、これをさらに抑え込むことに設計の主眼を置いたのが今回のN700Sである。

■三次元設計で空気の流れを精密に計算

 N700系設計時では二次元による設計が行われたが、N700Sでは3Dシミュレーションを利用することで、最後尾となった際の空気の流れを精密にシミュレーションした。その結果をN700Sの設計に生かし、先頭車形状は両サイドにエッジを立てた「デュアルスプリームウィング形状」が生まれた。こうしてN700Sは尻振り現象を大幅に抑制し、安定した乗り心地を確保している。一方方向に進むことが前提の自動車や航空機と違い、前後に走行する必要のある鉄道車両ならではの設計といえる。


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