いきなり中日のレジェンドがつけていた背番号を託された石川昂弥と橋本侑樹 (c)朝日新聞社
いきなり中日のレジェンドがつけていた背番号を託された石川昂弥と橋本侑樹 (c)朝日新聞社

 レジェンドの背番号を安易に新人に与えていいのか……、そんな疑問が野球ファンの間で持ち上がっている。中日は昨年12月16日、入団発表会見を行い、ドラフトで指名された新入団選手7人の背番号を披露した。特に注目されているのは、ドラフト1位の石川昂弥(東邦高)と2位の橋本侑樹(大商大)だ。

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 石川には、通算2045安打を達成し、名二塁手として知られた荒木雅博が付けていた背番号「2」が渡された。一方、橋本には通算407セーブを記録した鉄人、岩瀬仁紀が背負った背番号「13」が継承された。荒木と岩瀬は落合博満監督時代の中日黄金期を支えたプレーヤーで、ともに2018年限りでユニフォームを脱いでいる。

 一般的には、球団に対して大きな貢献を果たした選手の場合、その背番号はしばらく“空席”にするケースが少なくない。だが、近年の中日をみると、空席の期間が非常に短くなっている。たとえば、通算219勝を挙げて、50歳まで現役を続けた山本昌がつけていた背番号「34」。山本昌は2015年限りで引退したが、背番号は翌年入団した福敬登に早くも渡された。この時も疑問の声が出ていたという。

「山本昌さんが引退した翌年に同じサウスポーの福に「34」が渡されたのですが、中日球団の関係者でも『さすがにルーキーに渡すのは、荷が重すぎるのではないか』と心配する意見が出ていました。今回のケースも同様で、岩瀬氏は1002試合登板という前人未到の大記録を達成していますし、いくらドラフト2位とはいえ、橋本に引き継がせるのは早いような気がします。プロで結果を出してからでも遅くないわけですからね」(スポーツライター)

 橋本自身も背番号の提示を受けた時はかなり驚いたそうだが、入団会見では「こんな偉大な背番号をもらったら息抜きしている暇もない。頑張るしかない。今は岩瀬さんのイメージですけど、自分の印象をつけて新しく塗り替えていきたい」と語っている。活躍を心から期待したいが、中日には背番号のプレッシャーゆえに、潰れてしまった選手がいる。

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偉大な背番号のプレッシャーに潰された選手は…