堀ちえみ(左)と池江璃花子選手 (C)朝日新聞社
堀ちえみ(左)と池江璃花子選手 (C)朝日新聞社

 梅宮辰夫さんが亡くなった。俳優のみならず、歌手やタレント、グルメレポーター、実業家、そしてアンナパパと、幅広く活躍した81年の生涯は、同時にがんとの闘いの歴史でもあった。30代での睾丸がんに始まって、肺がん、胃がん、十二指腸乳頭部がん、前立腺がん、今年の尿管がん。最期は慢性腎不全で力尽きたが、イメージそのままに力強く闘い抜いたといえる。

【写真】白血病が奪った美貌

 主人公の父親役で出演中だった連ドラ「やすらぎの刻~道」では追悼のテロップが流された。ベテランの役者が多いこの作品では、こうしたケースは三人目だ。二人目の山谷初男さん(享年85・間質性肺炎)は突然の訃報だったが、一人目の八千草薫さんは今年2月に膵臓がんだったことを公表。昨年1月に手術をして復帰したものの、

「ところが今年に入りまして肝臓にも見つかり、主治医と相談しまして、この寒い季節と撮影期間の長い作品もありますので、今回は暫くお仕事をお休みさせて頂き、治療に専念することと致しました」

 と、所属事務所のサイトで報告した。これにより、この作品の「道」パートで務めることになっていたヒロイン役も降板。8ヶ月後に88歳で他界した。高齢期のがんは進行が遅いともいわれるが、そのぶん、老いによる体力の衰えもあり、いろいろと難しいのだろう。

 せめてもの救いは、前日に松茸ご飯を食べ「明日はヒラメのお造りが食べたいわ」などと明るく語っていたというエピソードだ。清楚な大女優にふさわしい、穏やかな最期だったと思いたい。

■白血病で闘病中の池江璃花子選手

 彼女が病気を公表した2月には、水泳の池江璃花子選手が、血液のがんである白血病であることを明かした。来年の東京五輪でメダルも期待されていた「競泳界のプリンセス」の告白は、政治家も巻き込んでの国民的関心事に。ただ、18歳(当時)という若さや、早期発見で重症ではないと伝えられたことなどから、むしろ復帰がいつになるのかといったことが注目された。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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