2015年8月、寝台特急「北斗星」のラストランとともに日本の鉄路から姿を消したブルートレイン。今や懐かしの存在となってしまったが、宿泊施設として活用されている車両もある。そんな宿泊可能な“ブルトレホテル”を紹介しよう。
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■小坂鉄道レールパーク「ブルートレインあけぼの」
およそ44年間にわたり上野~青森間を走り続けてきた寝台特急「あけぼの」。1970(昭和45)年7月にデビューして以来、経路の一部変更はあったものの、一貫して首都圏と秋田や弘前(ひろさき)を経由し、青森を結ぶブルートレインとして利用客に愛されてきた。筆者にとっても東北地方北部や北海道への旅に好んで利用してきた列車だったが、2014(平成24)年3月に定期運行を終了している。その「あけぼの」と再会できるのが、秋田県鹿角(かづの)郡小坂町にある小坂鉄道レールパークだ。
小坂鉄道テーマパークは、かつて秋田県の大館と小坂を結んでいた小坂製錬小坂線の施設を生かした鉄道テーマパーク。その中心となる施設が、旧小坂駅と寝台特急「あけぼの」で活躍した、24系客車の動態保存車を活用した「ブルートレインあけぼの」だ。ここに保存されている24系客車は、1人用A寝台個室「シングルデラックス」車のオロネ24-551、1人用B寝台個室「ソロ」車のオハネ24-555、開放式B寝台車のオハネフ24-12、そして電源車のカニ22-511の4両がナインナップ。
国内唯一の24系の動態保存車で、日中は車両展示場で展示されているが、夜間には旧小坂駅ホームに据えられ宿泊施設として利用できる。宿泊可能なのはA寝台個室「シングルデラックス」車とB寝台個室「ソロ」車の個室で、「シングルデラックス」は現役当時同様に、補助ベッドを使用して1室につき2人まで宿泊が可能だ。開放式B寝台車はパブリックスペースとして用いられているほか、駅舎内にはシャワールームや休憩室などが用意されている。宿泊と併せて「あけぼの」の雰囲気をじっくりと味わうことができるだろう。