■訪日外国人にも人気の「トレインホステル北斗星」

 最後にピックアップするのが、「トレインホステル北斗星」。総武快速線の馬喰町(ばくろちょう)駅に直結して2016(平成28)年12月にオープンした、異色の宿泊施設だ。

 ホステルという名称のとおり位置づけとしては簡易ホテルだが、最大の特徴は寝台特急「北斗星」をイメージした設計・デザインがされているところ。ベッドをはじめ一部設備は実際に「北斗星」で使用されていた車両のパーツも用いられている。施設内は開放式B寝台風の2段ベッドタイプ「ドミトリー」と、A寝台個室「ロイヤル」風のソファベッドとテーブルセットがつく「半個室」で構成されている。

「半個室」と列車の個室との違いは仕切りの一部がカーテンとなっていることだが、開放式寝台車はカーテンのみで仕切られていた「ドミトリー」のようなものなので、このスタイルは“ブルトレホテル”にピッタリともいえるかもしれない。

 シャワルールや供用キッチン、鍵付きロッカー、ラウンジ、有料で利用できるランドリーなど館内設備も充実。WI-Fiが無料で利用できるほか、外貨両替に対応しているのは、施設のコンセプトをうかがわせる。車両そのものを用いているわけではないので、厳密には“ブルトレホテル”とは異なるかもしれないが、都心に出現した“列車風ホテル”として一度は体験してみたい施設といえそうだ。(文/植村誠)

◯植村誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。