A寝台のグレードは年を追うごとに進化し、のちの豪華クルーズ列車「ななつ星in九州」などにつながることになる。こうして、ブルートレインの晩年にはA寝台といえば個室が中心となっていたが、一部では開放式A寝台車を連結し走っていた列車もあった。大阪と青森を日本海沿いルートで結んでいた寝台特急「日本海」もそのひとつで、個室時代から取り残されるようにA・B寝台ともに開放式のみで運行されてきた(2012年3月廃止)。

 その数少ない開放式A寝台車を宿泊施設として再活用しているのが岩手県閉伊(へい)郡岩泉町にあるふれあいランド岩泉「ブルートレイン日本海」である。

 ふれあいラインド岩泉はオートキャンプなどが楽しめる観光施設で、寝台特急「日本海」などに充当されていた24系車両をJR東日本から購入し、2014(平成26)年7月に“ブルトレホテル”としてオープンしたものだ。車両は開放式A寝台車オロネ24-5と開放式B寝台車のオハネ25-151とオハネフ25-121の3両。いずれも往時の姿を残しながら丁寧な整備・清掃を受けて保存されており、ブルトレファンにとってはもちろん、宿泊施設としても快適な環境になっている。

 料金は別表のとおり格安ともいえる設定で、人数が集まれば1両貸し切りも受け付けている。シャワールームは隣接するセンターハウスに設けられ(タイルは要持参)、電子レンジや電気ポットの利用も可能。希望によりバーベキューを楽しむこともできる。営業は例年4月から11月末まで。予約は電話またはWEBでの受け付けだが、利用日により予約受付開始日が定められているので、公式サイトで確認を。

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「北斗星」をイメージ? 異色の宿泊施設