「僕自身は歳を全然気にしないですけど、やっぱり欧州では相当気にされますよね。『年齢が高いとモチベーションがないし、フィジカル的なコンディションも落ちている』と思われることがほとんどだから。32~33歳でメスに行った時も『こんなにやる気がある30代のGKが来るとは思わなかった』と面と向かって言われましたよ(苦笑)」

 それでもGKは経験がモノを言うから、30代以上でも生き残りの確率が上がる。40代に突入したジャンルイジ・ブッフォン(ユベントス)のようなベテラン守護神が欧州5大リーグで現役続行しているのも追い風だろう。

 DFにしても、日本代表前主将の長谷部誠(フランクフルト)が35歳にしてUEFAヨーロッパリーグ(EL)に参戦しているチームの大黒柱を担っている例があるように、年齢の高い選手も比較的重要視されやすい。

「今の(リベロの)ポジションはそこまで沢山走るわけでもないし、経験がモノを言う部分が多い。そういう意味ではいい役割をやらせてもらっていると感じます」と長谷部も前向きに言う。やはり後ろ目のポジションは経験を高く買ってもらえる傾向が強いのだ。

 しかしながら、前線のアタッカーはそういうわけにはいかない。将来性が高く、高額の移籍金を残してくれるであろうイキのいい若手が圧倒的に好まれる。本田と一緒に2005年ワールドユース(現U-20ワールドカップ)に出場した元Jリーガーのカレン・ロバート氏(ローヴァーズ木更津FC代表)もその現実を突きつけられた1人だ。

「VVVフェンロで3シーズンプレーして、2013年5月に契約満了になった後、イギリス行きの夢を叶えるため、オファーを待っていたんです。でも、夏の欧州移籍期限の8月末までには決まらず、9月になり、10月に入ると『これはマズイ』という焦燥感が一気に強まった。当時は28歳だったから年齢的なハンディキャップはそこまで感じませんでしたけど、2017年末から2018年にかけてイングランドやスコットランドでクラブ探しをした時は『30代の壁』を痛感する日々でした。
 僕が練習参加した5・6部のクラブでも若い子が沢山いる。『年齢の高いやつはいらない』と見られたりして、ホントに辛い思いをしました。33歳になってイングランド7部のレザーヘッドFCと契約を取り付けましたけど、これが現役最後のクラブになった。『アタッカーは若い方がいい』というのは欧州の常識だと実感しました」

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長生きできるポジションを目指すのもアリ