作家・演出家の鴻上尚史氏が、あなたのお悩みにおこたえします! 夫婦、家族、職場、学校、恋愛、友人、親戚、社会人サークル、孤独……。皆さまのお悩みをぜひ、ご投稿ください(https://publications.asahi.com/kokami/)。採用された方には、本連載にて鴻上尚史氏が心底真剣に、そしてポジティブにおこたえします(撮影/写真部・小山幸佑)
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写真は本文とは関係ありません(※イメージ写真/iStock)
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 鴻上尚史のほがらか人生相談。夫にずっと無視され続け、会話がまったくないと吐露する52歳主婦。親はすでに亡く、子供もいない相談者が恐れる孤独に、鴻上尚史がはっきり伝えた、「残りの人生」への具体的な策。

【相談46】夫にずっと無視されています(52歳 女性 金平糖)

 50代の主婦です。ずっと夫に無視されています。4年間単身赴任していた時期はほとんど連絡がなく、話し合いを持とうとしましたが相手にされませんでした。自宅に戻った今も毎日食事のためにだけ顔を出し、済ませると自分の部屋に行ってしまいます。会話はまったくありません。私は仕事もフリーで自宅作業のため、年中ほとんど誰とも話さず過ごします。

 離婚したほうがいいとは思いますが、そうなったら私は天涯孤独です。一人っ子で親はすでに亡く、子供にも恵まれませんでした。親からの財産は何もなく、休みなく仕事をしていますが自活できるほどの稼ぎもありません。よくしてくれる友人や親せきはいますが、頼ることはできません。

 思えば両親も何かと問題のある人で、子供のころからずっと寂しい思いをしてきました。孤独のまま一生過ごすのかと思うと、いっそ死んでしまおうと考えることもあります。人と比べてはいけないと自分に言い聞かせていますが、家庭にも金銭的にも容姿にも恵まれている友人を見ると、虚しく思えて仕方ありません。

 気持ちが行動に出るのか、最近は何かとうまくいかないことばかりでさらに落ち込む毎日です。

 親に昔、「お前は不幸な星のもとに生まれた」と言われました。本当にそうなのかもしれないと思っています。どうすれば人生が好転しますか?

【鴻上さんの答え】
 金平糖さん。よく相談してくれました。

 夫とはどれぐらい会話がないですか? もう何年もですよね。ひょっとしたら10年ぐらいですかね。

「同じ屋根の下に住んでいて、何の会話もない」ということは、独りで住んでいるより、何倍も孤独を感じると思います。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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それは、強烈に孤独