阪神に1位指名されて会見で笑顔を見せる創志学園の西純矢投手 (c)朝日新聞社
阪神に1位指名されて会見で笑顔を見せる創志学園の西純矢投手 (c)朝日新聞社

 10月17日に行われたプロ野球ドラフト会議。佐々木朗希(大船渡)に4球団、奥川恭伸(星稜)と石川昂弥(東邦)に3球団が1位指名するなど、今年も高校生に人気が集中する結果となった。支配下で74人、育成枠で33人の合計107人が指名されたが、的確な補強だったのかを基準に12球団の指名を採点した。今回はセ・リーグ編をお送りする。

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■阪神:95点

1位 西純矢(創志学園・投手)
2位 井上広大(履正社・外野手)
3位 及川雅貴(横浜・投手)
4位 遠藤成(東海大相模・内野手)
5位 藤田健斗(中京学院大中京・捕手)
6位 小川一平(東海大九州・投手)
育成1位 小野寺暖(大阪商業大・外野手)
育成2位 奥山皓太(静岡大・外野手)

 投手は「将来のエース候補」、野手は「打力強化と梅野隆太郎の後釜候補の捕手」がポイントだったが、ほぼ狙い通りの指名となった。1位入札では奥川を外したが、外れ1位で西を単独指名できたことが大きい。また3位の及川、6位の小川もスケールの大きい投手で、一気に若手投手陣が華やかになった印象だ。そして野手でも井上、遠藤という高校生の強打者タイプを二人獲得。特に井上はチームにとって待望久しい大型スラッガーで、思い切って2位で指名したのは高く評価したい。5位の藤田も梅野の後継者候補として相応しいタイプの捕手だ。近年振り返ってみても最も納得のいく指名で、セ・リーグ最高点とした。

■ヤクルト:90点

1位 奥川恭伸(星稜・投手)
2位 吉田大喜(日本体育大・投手)
3位 杉山晃基(創価大・投手)
4位 大西広樹(大阪商業大・投手)
5位 長岡秀樹(八千代松陰・内野手)
6位 武岡龍世(八戸学院光星・内野手)

 チーム防御率は12球団でもダントツの最下位。「投手陣の整備」という明確な補強ポイントがあり、そういう意味で非常に分かりやすい指名だった。まずは3球団競合の奥川を引き当てたことが大きい。高校生だが完成度が高く、1年目から一軍の戦力として十分に期待できる。2位から4位にも大学生の実力派右腕を揃えた。いずれも安定感があり、吉田と杉山は外れ1位の候補にもなっていた投手。この二人をこの順位で獲得できたことは大きなプラスとなる。高齢化している外野陣に手をつけなかったというのだけが気がかりだが、下位でも将来性のある高校生野手を獲得し、概ね狙った補強はできたと言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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