変更後、まず気になりだしたのが「ニオイ」だった。喫煙所での紙巻きたばこの香りが「気にならない」から「独特で強烈なニオイ」に変わっていった。「たばこのニオイはこれほどのものだったのか」と再確認したが、その分、鈍感になっていったのが加熱式たばこのニオイだった。


     
 使用していたのは「iQOS(アイコス)」や「glo(グロー)」などの「高温加熱型」のものだが、使い始めのうちは独特の焦げたようなニオイが気になった。だが、それもひと月ほどで気にならなくなった。しかし、妻は「紙巻きより高温加熱型のほうが臭い」と文句をいってくる。吸っている本人が慣れただけでニオイはやはりあるのだ。2018年の喫煙率は成人男性が27.8%、成人女性が8.7%(ともにJT調べ)。非喫煙者にとっては、紙巻きたばこでも高温加熱型のたばこでも、臭いものは臭いので、あとは程度の問題ということだろう。

 ニオイ問題を解決する策は「Ploom TECH(プルーム・テック)」などの「低温加熱型」だ。「高温加熱型」は約200~350度で加熱するのに対し、こちらは30~40度ほどで、ニオイはほとんど発生しない。妻も「これなら気にならない」という。ならば「低温加熱型」にすればいいのだが、紙巻きたばこに近い味わいはやはり「高温加熱型」だ。

 この「帯に短しタスキに長し」といった悩ましい状況を救ったのは“二刀流”である。喫煙室では「高温加熱型」、喫煙可能なスペースでも非喫煙者がいる場合は「低温加熱型」と、ケース・バイ・ケースで使い分けている。今年に入り、より吸いごたえが増した「Ploom TECH+」が登場し、物足りなさも軽減してきた。

 今年5月に国立がん研究センターが発表した「家族のたばこ 国民意識アンケート」によると、配偶者が「毎日吸っている」「時々吸う日がある」人の約60%が配偶者に対し、「禁煙してほしい」と答えた一方、「加熱式たばこならよい」という回答が10%ほどあった。喫煙者にとって肩身の狭い日々は続くが、加熱式たばこのTPOに合わせた使い分けで、このアンケートの数字は少しずつ変わっていくのかもしれない。(原子 禅)