テレビ業界における「ヤラセ」と「演出」の境界線とは? (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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テレビ業界における「ヤラセ」と「演出」の境界線とは?

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新山勝利dot.
ステーキの油のはねはスポイトで作る(※写真はイメージ/iStock)

ステーキの油のはねはスポイトで作る(※写真はイメージ/iStock)

 このようなドキュメンタリー番組だけではない。ポスターやパンフでの写真、またはテレビの食レポで食べ物を撮影する際にも、さまざまな「演出」が施されている。食べ物の美味しさを感じてもえるように、フード・コーディネーターやカメラマンがあらゆる職人技を駆使して工夫をしているのだ。そのためには、シズル感(食欲を刺激するための演出)をうまく表現することが、必要不可欠だ。

 例えば、ハンバーグの撮影で、カットした断面にカメラがズームインすると肉汁が噴き出る。ハンバーグの食レポでは、お約束といってもいい場面がある。勢いよく汁が噴き出る様子を演出するためには、挽肉、玉ねぎ、パン粉などの材料をこねる際に、氷をクラッシュ状態にして入れて焼くと、氷がお湯となり肉の脂と共に一斉にあふれ出す。

 また、牛や豚の脂を細かくサイコロ状にして、こねた挽肉の間に埋め込むことでも、同じような効果が生まれる。氷や脂を入れることに対して、やらせだと批判があるかもしれない。しかしこれは、ふんわりジューシーハンバーグを仕上げる裏ワザでもあるのだ。

 スポイトは飲食の撮影部隊には、必需品の一つだ。ステーキやハンバーグの撮影では、熱々の鉄板にスポイトで水をたらし油をはねさせることで、ジュージューといったシズル感たっぷりの音を演出する。さらにスポイトと併せて、湯気も立てている。立ち昇る湯気は、煙をスポイトで吐き出して、昇ったところを撮影しているのだ。

 ちなみに、湯気の立ち昇りを目立たせるために、スタジオであればエアコンで冷房をキンキンに効かせて部屋の温度を低くして撮影を行っている。

 冷たさを表現する際にも、スポイトは活躍する。冷えた飲み物のコップに水滴をつけるときに使用するのだ。単純にコップに氷が入った状態より、グラスに水滴が浮き、それがしたたり落ちる場面の方が冷たさをより一層感じさせる表現だからだ。ここで、氷同士がぶつかるカランカランといった音などが入ると、より冷え冷え感が高まる。


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