8位大東文化大。国立競技場で響きわたる「ダイトー」という声援はラグビー新興大学を勇気づけた。大学選手権では1980年代半ばから1990年代半ばにかけて早明を破るなど優勝3回を数える。その中心を担ったのが、トンガ出身のシナリ・ラトゥ(1987、91、95年)だった。茂野海人(2019年)は、大東文化大出身者として3大会ぶりに選ばれた。

 9位東海大は大学選手権で優勝経験がない。2009、15、16 年度に準優勝。09年度は決勝で帝京大とぶつかり、13対14の1点差で負けてしまう。帝京大は初優勝を果たし、ここから9連覇が始まった。毎年正月になると、大学関係者は、箱根駅伝かラグビーのどちらが早く優勝するか、気が気でなかった。2019年、箱根駅伝で優勝し、一足早く王者に輝いた。

 10位日本体育大は大学選手権優勝2回を数える(1969、78年度)。朽木英次(1987、91年)はセンターのポジションで、同年代の同志社大出身の平尾と組むことが多かった。OBには日本代表の山口良治(伏見工業高ラグビー部総監督、ドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデル)、岩出雅之(帝京大ラグビー部監督)がいる。

 オリンピック、ワールドカップ、世界選手権など国際大会の日本代表には、競技ごとの強豪校(大学、高校)の出身者が活躍する傾向が見られる。なかでもラグビーは顕著だ。ラグビー大学選手権優勝校の出身者が日本代表に数多く選ばれている。サッカー、野球はそれほどでもない(そもそもサッカーに大卒プレーヤーは多くない)。ラグビーは大学との親和性が極めて高い。一方で、選手育成を大学ラグビー部に任せていいのか、という議論もある。サッカーのようにクラブチームで育てるべきだという考え方だ。

 ラグビーワールドカップが始まった。個々の選手に注目してみよう。学生時代にスター選手だった者がいる。ラグビートップリーグで花開いた者がいる。ラグビーでは無名だった大学の出身者もいる。彼らがどんな活躍をしてくれるか、出身大学から見るのもおもしろい。

(文=教育ジャーナリスト・小林哲夫/選手名は敬称略)

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