また、先発投手は5、6回をしっかり投げて、年間ローテーションを守ることが求められる。5回前後を投げられるスタミナがあれば、多少の肥満も許されます。実際、6回を自責点3以内に抑える『クオリティスタート』は向こうでかなり重視されています」

 菅野はそういった事情を考慮し、体重や脂肪量があっても動ける“メジャー仕様の身体”を目指し始めたというのだ。

 しかし、シーズン途中に無理をすれば、反動はあるもの。再び、菅野に異変が起こったのは9月4日の中日戦。2回を投げて5安打4失点、身体に「正常ではない」ものを感じてマウンドを降り、腰痛の球団発表で登録抹消された。

 5年ぶりのリーグ制覇に向けて大事な時期にエースが離脱、しかもその説明がなんともモヤモヤ感の残る不透明なものとあっては周囲も騒がしくなるが、やはり背景にはメジャーへの強い思いが絡んでいるようだ。

「メジャー挑戦の可能性も再燃した中で、無理はしない、という気持ちが菅野本人にはあるから、早々とマウンドを降りる決断を下した。原監督は内心、複雑だったと思います」と関係者は話す。

 一方、原監督にも思惑があり、場合によっては菅野の夢が実現する“Win-Win”の関係にもなり得るから事情はいっそう複雑だ。前出の関係者はこう説明する。

「原監督自身にもさまざまな思いがあります。野球人として最後の挑戦を有終の美で飾りたい。しかし、これまでの監督就退任時の複雑な経緯もある。日本一という結果を出して自ら辞める、という選択肢も持っています。さまざまな可能性があり、それによって菅野の進路も大きく変わってくるのです」

 今月16日には、またも腰痛のために出場選手登録を外れるなど、今年はどうにもおかしい。憧れのメジャーへの思いが、逆に体を蝕む結果となっているのなら、なんとも皮肉な話だ。

 そして、日本一になってもならなくても名将・原監督の去就、そしてエース・菅野智之の去就は不透明。巨人ファンにとっては頭の痛い問題だらけである。