アニソンの歴史に名を刻むふたり。森口博子(左)と水樹奈々 (c)朝日新聞社
アニソンの歴史に名を刻むふたり。森口博子(左)と水樹奈々 (c)朝日新聞社
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 8月30日、秋に予定されていた香港公演の中止を発表した水樹奈々。現地デモの影響だが、ワールドワイドな活躍ぶりを改めて感じさせたニュースでもある。一方、その4日前にはこんなローカルっぽいツイートがバズっていた。彼女と同じ愛媛出身の一般男性がつぶやいたものだ。

「ずいぶん前に亡くなった婆ちゃんが存命中に『この前カラオケ好きの集まりに行った時に上手い女の子がおっての。会う度に上手くなっとるんじゃ。ナナちゃんは歌うの上手いんじゃ』って言うてたと家族内で話題に。その女の子が小さい頃の水樹奈々であったと知り、聞きに行きたかったと少し後悔」「家族と話していた時にこの話題が出て、両親が婆ちゃんから聞いた時(30年くらい前)にその女の子が『コンドウナナさん』という名前だったらしく、それで自分が『!?』となった次第です」

 水樹の本名は「近藤奈々」で、子供の頃は演歌歌手を目指していた。地元ではのど自慢荒らしと呼ばれ、演歌のカセットも出している。芸能界入りのきっかけも地元ののど自慢で、その後、事務所の倒産や師匠によるセクハラといった苦難を乗り越え、声優兼アニメ歌手となった。やがて「紅白」に6年連続で出場するほど大成するわけだが、じつはこうした「のど自慢」出身の「アニソンの女王」は彼女だけではない。

 たとえば、先日、ガンダムソング10曲をとりあげたアルバム「GUNDAM SONG COVERS」がオリコン2位を記録した森口博子。彼女は子供のころからアイドルに憧れ「ちびっこものまね紅白歌合戦」(テレビ東京)の常連だった。その後、スクールメイツでの活動を経て「勝ち抜き歌謡天国」(NHK)で優勝。その名人大会でも準優勝を果たす。コニー・フランシスの「ボーイハント」は絶品で、花村博美(本名)という少女の姿と声が今も目と耳に焼きついている。

 これを機に、この番組で出会った平尾昌晃から「森口博子」という芸名をもらい「機動戦士Ζガンダム」の主題歌「水の星より愛をこめて」でデビュー。その後、数年くすぶったが、バラドルとして生き残り、今度は映画「機動戦士ガンダムF91」の主題歌「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」がヒットした。ここから「紅白」にも6年連続で出場するのである。

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ガンダムが助けてくれた