続いて「若手の育成」という点においても、野村監督が上だろう。ヤクルト時代には、古田敦也を正捕手に抜擢した他、飯田哲也を捕手から外野手にコンバート、高津臣吾を守護神として成長させた。さらに阪神時代には「F1セブン」を売り出し、楽天では田中将大を手塩にかけて育てるなど、その育成力は非常に高いものがある。

 一方の落合監督は、育成よりも勝利を最優先に考え、その中で頭角を現した選手もいたが、特に晩年はドラフト戦略も含めて若手育成の面にファンからの不満が高まった。

 ここまで野村監督の2勝1敗1分けだが、最後の「意外性」では、落合監督が上だろう。野村監督も相手の嫌がる采配が目立ったが、それ以上に“オレ流”と言われた落合監督の采配は型破り。就任1年目に3年間一軍登板のなかった川崎憲次郎を開幕投手に起用したことを皮切りに、幾度となく周囲を驚かせた。

 改めて振り返ると、野村、落合両監督ともに野球の格言とも言える「語録」が多い。そして、その言葉たちは一般社会を生き抜く我々社会人たちにとっても参考になる。仮にこの2人が社長だったとしても、その会社の業績は間違いなく伸びるだろう。令和の新時代においても、できるだけ長く、さらに多くの“金言”を残してもらいたい。