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昼夜で異なる接客設備 日本が誇る寝台電車「583系」の寝心地は?

日本鉄道座席史 1967年《581・583系寝台電車の全設備に乗車する》

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安藤昌季dot.#鉄道
583系夜間状態。3段式寝台が通路の左右に並ぶ。(撮影/安藤昌季)

583系夜間状態。3段式寝台が通路の左右に並ぶ。(撮影/安藤昌季)

583系昼間状態。中・上段寝台は折りたたまれている。(撮影/安藤昌季)

583系昼間状態。中・上段寝台は折りたたまれている。(撮影/安藤昌季)

583系A寝台車下段寝台。高さ方向のゆとりが44cmも増した。(撮影/安藤昌季)

583系A寝台車下段寝台。高さ方向のゆとりが44cmも増した。(撮影/安藤昌季)

583系グリーン車。JR時代に交換された新しい座席だ。(撮影/安藤昌季)

583系グリーン車。JR時代に交換された新しい座席だ。(撮影/安藤昌季)

 鉄道に乗車した際に、最も触れる時間が長く、見ることが多い風景は「座席から見た風景」である。だから、座席の善し悪しやインテリアは旅の楽しさに直結しているし、同時に「その車両が製造された時代の風景を想像できるタイムマシン」だと思う。

 そんな「座席鉄」の筆者がさまざまな電車の座席を紹介する「日本鉄道座席史」。今回は「581・583系寝台電車」の各種座席・寝台を取り上げたい。2019(令和元)年現在において、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」以外の定期列車が消滅した形の「寝台列車」。だが、「座席鉄」として、もっとも興味深い鉄道車両は寝台車である。寝台車に乗車するということは、必然的に「列車内で一晩を過ごす」ということであり、接客設備に長時間接することができるからだ。

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 さて、1967(昭和42)年に登場し、2017(平成29)年まで50年の長きにわたって活躍した、国鉄581・583系寝台電車について解説したい。1967(昭和42)年に直流・交流60Hz対応車両として581系が登場し、翌1968(昭和43)年に直流・交流50/60Hz対応車両として583系が登場した。以下、製造両数の多い583系として表記する。

■世界的にも珍しい"寝台電車"

 583系は世界中を見渡しても、類を見ない鉄道車両である。まず「電車であること」、次に「昼行と夜行では全く異なる接客設備となり、別の列車として運行した」ことだ。

「電車であること」だが、電車は機関車に牽引された客車列車と比較して、騒音・振動が大きくなり、走行用の機器も搭載する必要があることから、寝台列車に不向きというのが世界的な傾向である。

 とはいえ、1904(明治37)年に米国の都市間電車"Inter Urban"に寝台設備が設置され、3年後に夜行運転を行った実例はある。また、1935(昭和10)年に同じく米国が、寝台設備を持つM10001流線型気動車"City of Portrand"や、9906気動車"Denver Zephyr"を運行してもいる。また、西ドイツでも1953(昭和28)年に、VT10.5形寝台気動車"Komet"が登場するなどの実例はあった。

 だが、高い維持費や静粛性などの問題もあり、寝台列車の主流は客車列車であり続けた。現在、欧州や米国、ロシア、インドで走る寝台列車の中で、電車方式を採用したものは筆者の知る限り、見られない。

 なお中国では、2008(平成20年)に、日本のE2系新幹線を基にしたCRH2E型が登場し、それを改良したCRH2G型も2015(平成27)年に登場しており、一部中国新幹線では寝台電車が活躍している。ただし在来線の寝台列車は客車列車である。

 583系が登場した1967(昭和42)年の時点において「寝台電車」が極めて珍しかったことは間違いない。そして珍しい「寝台電車」が実現した理由が「昼行と夜行では全く異なる接客設備となり、別の列車として運行」する必要性があったからである。


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