東北本線・奥羽本線の最北端の駅だった青森駅。この駅は31年ほど前の1988年3月までは青函連絡船に乗り継ぐ駅でしたから、「この線路の先は海!」という行き止まり形状になっています。構造的に機回しや推進運転ができないわけではないのですが、青森駅始発の寝台特急はちょっと変わった方法で入線していました。

 例えば、2010年当時の「あけぼの」と「日本海」では、いずれも交直流電気機関車のEF81形が牽引をするのですが、ホームに入線するときにはDE10形という小ぶりなディーゼル機関車が先頭に立って入ってきました。そして、よくよく見ると客車編成の最後尾にEF81形がぶら下がるように連結されているのです。DE10形が引くブルートレインは数えるほどしか例がないのですが、青森駅ではこの組み合わせが日常だったのです。

■複雑だった客車編成のドッキング

 途中駅にも名物といえる光景があったので紹介しましょう。寝台特急の分割・併合というと現在でも岡山駅で「サンライズ出雲・瀬戸」が行っています。しかし、自走できる“電車”と異なり、客車列車ではいくつもの工程が必要でした。

 「富士・はやぶさ」は、門司駅で分割・併合を行っていました。『時刻表』によると本発の「はやぶさ」が18時46分に到着、続いて大分発の「富士」が18時58分に到着し、両列車は併結して19時15分に発車します。

 『時刻表』ではこれだけですが、実際は牽引機があるので、併合といってもそう簡単ではないのです。「はやぶさ」は6番線に到着し、ここまで牽引してきたED76形が連結を解かれ、関門トンネル用のEF81形に交換します。その後、客車の扉はいったん閉められ、いったん前進。分岐器の先でしばらく停車します。その間、5番線にやってきた「富士」は機関車を解かれて待機。「はやぶさ」がバック運転で5番線に入線し、「富士」と連結をして出発し直します。

 寝台特急でこのような併結運転が行われた駅は限られており、鳥栖駅、肥前山口駅など九州で多く見られました。本州では名古屋駅の「出雲・紀伊」(当初は「いなば・紀伊」)くらいでした。

■あっちとこっちで機関車交換

 乗客の鉄道ファンの多くが降りて眺めたいシーンが機関車交換です。牽引してきた機関車が切り離され、同じところに次の機関車が連結される場合はその全工程にくぎ付けになって観察してしまいます。ところが、そうはいかない駅もあります。そのひとつが函館駅でした。

 札幌から「北斗星」に乗る場合、DD51形ディーゼル機関車が重連で函館まで牽引していました。到着後、ねぎらいの気持ちでこの機関車の連結解除を見送りたいのですが、次の牽引機であるED79形電気機関車は逆の端に連結されるため、その作業はほぼ同時進行となっているのです。深夜とはいえホーム上を走るのは危険なので、早歩きで逆エンドにたどり着いた時にはほぼ完了していました。

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くじ引きのような機関車交換