千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師
千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師
※写真はイメージです(写真/getty images)
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 息子が自閉症スペクトラム障害の可能性があると医師から言われた……。母親が、自分の両親にその事情を伝えるべきか悩んでいるという相談にどうアドバイスすればいいでしょう。千葉大学病院精神神経科特任助教の大石賢吾医師が相談に答えます。

【※7月4日に配信した記事は、筆者が承知していない文章の修正が入っており、必ずしも伝えようとした形でなかった可能性があったため、筆者のもとの文章に差し替えています。2019年7月20日12時20分】

【30代女性Aさんからの相談】3歳の息子がいて、小さい頃から診てもらっている医師から自閉症スペクトラム障害の可能性があると言われています。夫の両親は遠方に住んでいるのですが、自分の両親は近くで普段から面倒を見てもらうことが多いので事情を伝えるべきか悩んでいます。医師は家族でよく相談するように勧めてくれるんですけど、夫に相談しても話は聞いてくれるのですが、結局最後には「任せるよ」という感じで進みません。いつになったら本当に自閉症スペクトラム障害なのかの診断がつくかもわからないし、もう気が滅入ってしまいそうです。両親に伝えたほうがよいのでしょうか?

*  *  *

 初めてのお子様でしょうか。ご相談から、これまでいろんなことを背負ってこられたのだとお察しします。終わりがみえず、思いどおりにいかないことが日常茶飯事な育児。自分の体も思うように休められないなか、悩みを抱えながら一人で踏ん張り続けるのはとても大変なことだと思います。

「これからどうしたらよいかわからない」
「誰かに悩みを相談したい」
「うまく子育てできないのは自分がふがいない」

 育児以外のこともこなしながら、ときにはいっぱいいっぱいになってしまうこともあるかもしれません。しかし、自分が思うようにできないということでご自身を責められているとしたら、どうかそうしないでほしいと思います。

 今回のご相談は、医療とは少し違うのかもしれませんが、Aさんと似たような境遇におられる方も多いのではないかと思い、このご相談を取り上げてみたいと思いました。

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大石賢吾

大石賢吾

大石賢吾(おおいし・けんご)/1982年生まれ。長崎県出身。医師・医学博士。カリフォルニア大学分子生物学卒業・千葉大学医学部卒業を経て、現在千葉大学精神神経科特任助教・同大学病院産業医。学会の委員会等で活躍する一方、地域のクリニックでも診療に従事。患者が抱える問題によって家族も困っているケースを多く経験。とくに注目度の高い「認知症」「発達障害」を中心に、相談に答える形でコラムを執筆中。趣味はラグビー。Twitterは@OishiKengo

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