杉岡は努めて前向きにこうコメントした。まだ20歳の選手だから伸びしろも大いにあるはずだ。けれども、現時点での世代交代は少し厳しい印象だ。杉岡が冨安健洋や久保のように瞬く間にA代表に定着できるかどうかも微妙と言わざるを得ない。少なくとも1年後の東京五輪が終わるまでは地道に力をつけていくしかなさそうだ。

 その下の世代を見ても、5~6月のU-20ワールドカップ(ポーランド)に参戦したU-20代表の左サイドバックは東俊希と鈴木冬一だったが、2人は杉岡以上に発展途上の存在である。東は所属の広島では一列前の攻撃的MFでの起用がメインで守備力にやや不安があるし、鈴木の方はハードワークと粘り強い守備を信条にしている反面、攻撃の迫力がそこまで出せず、センが細いイメージも否めない。同大会で日本が8強進出を阻まれたラウンド16・韓国戦でも、後半から左サイド・鈴木のところを狙い撃ちされていた。2人は揃ってJリーグにはコンスタントに出ている選手だけに、今後の成長は大いに期待できそうだが、やはり長友をすぐに脅かす存在だとは言えない。左サイドバックの名手の後継者探しはそう簡単ではなさそうだ。

 2008年5月のコートジボワール戦(豊田)で初キャップを飾ってから11年。長友は2010年南アフリカ、2014年ブラジル、2018年ロシアと3度のワールドカップに参戦するなどキャリアを積み重ね、国際Aマッチ出場数は117試合に上っている。今回のコパ・アメリカ期間中に岡崎に抜かれて歴代4位に転落したものの、「今回は若いチームでの参加だし、本当の歴代キャップ数3位は長友さん」と岡崎が最大級のリスペクトを口にしたほどの存在価値を誇っている。

 この秋から始まる2022年カタールワールドカップアジア2次予選にしても、岡崎の方は所属先未定という現状もあって先々が不透明になっているが、トルコの名門・ガラタサライで絶対的レギュラーに君臨する長友の招集は確実。森保一監督も大きな信頼を寄せているに違いない。

次のページ 以前として圧倒的な存在感の長友