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あの冷静な王さんが… うっかりで生涯たった一度の“珍事”に

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久保田龍雄dot.
“世界の王”がまさかの珍事を… (c)朝日新聞社

“世界の王”がまさかの珍事を… (c)朝日新聞社

 当初は9月15日の中日戦から復帰の予定だったが、欠場の間、チームが2勝5敗1分と低迷したことから、主砲の責任を感じ、まだ完治していない状態でベンチ入りした。

 出番がやってきたのは、7回まで無安打に抑えていた先発・西本聖がラインバックに本塁打を許し、1対2と詰め寄られた直後の8回裏1死。長嶋監督が「代打・王!」を告げると、「今日は出番がないだろう」と半ばあきらめかけていた4万8千の大観衆は湧きに湧いた。

「一番いいときが10とすれば、今の状態は6か7」と本調子にはほど遠い状態だった王だが、ベンチでうなだれる西本に「1点取られても構わない。ここで1点取ればいいんだ。心配するな、取ってやる」と声をかけて打席に入った。そして“約束”どおり、2ボールから池内豊の外角低め直球を右翼席中段に運ぶシーズン26号。これがプロ21年目で初めて記録した代打本塁打だった。この一発が効いて、巨人は3対1で逃げ切った。

「代打アーチは一度打ちたいと思ってたんだ。これであとは1イニング2ホーマーをやってみたいね」(王)。

 22年間の現役生活で通算868本塁打を記録した王だが、代打本塁打はこれが最初で最後になった。

 ちなみに野村克也も南海プレーイングマネージャー時代の1974年5月10日のロッテ戦(後楽園)で「生涯忘れない」代打初アーチを記録しているが、くしくも王と同じ現役21年目での“快挙”だった。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。


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