子どものスマートフォンやインターネット、SNSの使い方に悩みを抱える親は増えている(※写真はイメージです GettyImages)
子どものスマートフォンやインターネット、SNSの使い方に悩みを抱える親は増えている(※写真はイメージです GettyImages)

 親であっても、体罰や子どもの品位を傷つける罰を与えてはいけない。東京都議会で昨年3月に成立した児童虐待防止条例(4月から施行)では、そう明記された。政府も体罰禁止を明記した児童福祉法等改正案を出し、国会審議を始めている。

 誰もが、しつけのノウハウなど知らないまま親になる。それなのに親の言うことを聞かない子にどう対応すればいいのか。

 発達障害の子を持つ親向けにアメリカで開発されたペアレント・トレーニングを指導し、『困っている子の育ちを支えるヒント』の著書がある大正大学准教授・井澗知美さん(心理学)は「指示するときに子どもを威嚇したり、高圧的に出る必要はありません」と話す。実際に、井澗さんが親から受けた悩み相談をもとに、ペアレント・トレーニング超入門講座を紹介する。

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【相談】 小学2年生の息子(8)が最近、ユーチューブで動画を観るのにハマっています。約束した時間になっても終わることができず、何度注意しても「もうちょっと」と言って聞きません。しまいには「うるせえ!」などと悪態をつくようになり、夜は寝る時間が23時を過ぎることもあります。そのせいで朝はなかなか起きらなくなり、学校も遅刻しがちです。どうしたら良いでしょうか。(40代女性、会社員)

【井澗さんの解説】 相談室に来られた方に「ほかに困っていることはありませんか?」と聞くと、よく聞くのがテレビやゲームに関する悩みです。それに加え、最近ではスマートフォンやインターネット、SNSとの付き合い方に頭を悩ますシーンも増えているようです。宿題をしない、遅刻しがちという相談も、よく聞いてみるとこの問題が隠れていることもあります。こういうとき親は、有無を言わさず取り上げて険悪になるか、「じゃあ勝手にしなさい」と諦めてしまうかのどちらかのパターンの対応になりがちでしょう。

 でもそれで上手くいくでしょうか? 特に発達に凸凹のある子の場合は、親の本心を感じ取って動いてくれることは難しいかもしれません。また、わかっていてもやめられなくて困っているのかもしれません。必要なのは叱責や罰ではなく、手助け、適切なサポートです。

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「え? それだけ?」 最初のステップとは