広島・長野 (c)朝日新聞社
広島・長野 (c)朝日新聞社

 丸佳浩の人的保障で、巨人から広島に移籍した長野久義に注目が集まっている。

 この男の話題がテレビやネット、紙上を通じて伝わってこない日はない。

 例えば、キャンプ地周辺での広島選手への大盤振る舞いや、西武投手会の食事会に出現し、元同僚の「内海哲也をよろしく」とあいさつをしたこと。休日には西武ブルペンにサプライズで登場し、内海の投球を見守った様子など、“長野情報”がやむことはない。さらに、同じ日南市内でキャンプを張るサッカーJ2横浜FCの“キング”三浦知良との対面も大きく報道された。

 チームの雰囲気を良くするだけでなく、宣伝効果は大変なものである。

 しかし周囲が求めているのは、精神的支柱やムードメーカーとしてのものだけではない。実際のフィールド内での貢献に大きな期待をしている。首位打者、最多安打などのタイトルを獲得。ゴールデングラブ、ベストナインにそれぞれ3回も輝いている走攻守が揃った好選手だから、それは当然だ。

──自分のペースを崩さず身体に気をつければ結果は出る。

「対戦していて感じたのは、プレーすべてにとにかくオールマイティーというか、コンスタントに活躍していた印象が強い。チャンスで強い選手だし、実際にいいところで打たれたこともある。守備では大事なところで走者を刺す。いまだに盗塁をできる脚力も持っている。走攻守のすべてに関して、実力にはまったく心配していない」
 
 高信二ヘッドコーチは長野の実力について太鼓判を押してくれた。

「一番感じるのは安定感。特に守備に関して守備範囲の打球に関しては必ず追いつくし、送球も大きく外れることがない。キャンプに入っても最初からよく動けている。巨人時代と違って練習している、という声も入ってくる。でも無理にやっている感じはまったくない。身体全体がよくシェイプされているし、準備もしっかりやってきたんだろうね。やはりすべてのベースは下半身だけど、動けているから問題ないと思う」

 巨人時代は春先に苦しむ傾向があり、4月の打率1割代というシーズンもあった。

「先日、元巨人ヘッドコーチの村田真一さんが来ていて話した。確かにスロースターターの部分もあるけど、それが長い間続くことはない、と言っていた。夏場までには必ず調子が上がってくる。もちろん開幕にはレギュラーとして万全の状態で望んで結果も伴っているのがベストだと思う。でも長野にも長年やってきたペースがある。それは崩してほしくないからね。まあ身体、故障だけで、あとはまったく心配していませんね。実力はわかっているし実績もあるから」

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