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ヤクルト・山田はトリプルスリーを目指さない方がいいとあえて提言する理由

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今中洋介dot.
ヤクルト・山田哲人選手 (c)朝日新聞社

ヤクルト・山田哲人選手 (c)朝日新聞社

 1日から12球団の春季キャンプがスタートした。今季も球史に名を残す成績が期待されるのがヤクルト・山田哲人だ。昨季は打率.315、34本塁打、33盗塁でプロ野球史上初となる3度目のトリプルスリーを達成。米大リーグでもバリー・ボンズ(元ジャイアンツ)の3度が最高で、4度目の達成が実現すれば史上初の快挙となる。山田自身も「達成すればチームに貢献していることになる。そこは個人の目標として今年もできるようにしたい」と前人未到の記録への意欲を口にする。

 打率3割、30本塁打、30盗塁を達成した選手は10人しかいない。確実性、長打力、走力、盗塁技術、体力、集中力と多くの要素が必要とされる。2度のトリプルスリーを達成した選手が山田以外に一人もいないことが、記録の難しさを物語っている。過去に達成した選手はパワーヒッターに変貌するケースが目立つ。広島・金本知憲(元阪神監督)、西武・松井稼頭央(現西武2軍監督)、ソフトバンク・柳田悠岐はトリプルスリーを達成した翌年以降、30盗塁を一度もクリアしていない。年齢を重ねると共に盗塁数も減るのが一般的だが、山田は違う。「僕の一番の武器はスピード」と機動力を自分の特性として盗塁王を15、16、18年と3度も獲得している。

 懸念されるのが蓄積疲労だ。山田もシーズン中に「しんどい」と漏らすことが何度もあった。打つだけでなく、走塁に重点を置くと下半身にかかる負担が大きい。記録への精神的重圧も計り知れない。小川淳司監督がYouTube「桜坂チャンネル」に出演した際に「監督のおれがこういう風に言っちゃいけないけど、(将来は)どっかを切らないとだめかもしれない。トリプルスリーというトータルを求めるんじゃなくて、違うところを求めたらまだまだいけるんじゃないかな」と語ったのも、山田の将来の野球人生、選手寿命を考えたからだろう。

 不可能と言われてきた歴史的偉業を達成してきただけに、4年後の30歳になってもトリプルスリーを目指していてもおかしくない。一方で心身がすり減り、選手寿命が短くなるのは球界の損失になる。走塁の負担を減らして長距離打者にモデルチェンジするのか、走れて打てる現在のプレースタイルを貫くのか。たぐいまれな才能を秘めているからこそ、山田がどのように進化するのか想像がつかない。(今中洋介)


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