そしてもう一校、森上さんが「大化け。劇的に変わった」と挙げたのが広尾学園(東京)だ。前身は順心女子学園という目立たぬ存在で、廃校の危機にさらされると平成19年に広尾学園に改称し共学化。インターナショナルコースで特色を打ち出し、23年には医進・サイエンスコースも設置された。

「共学志向が高まる中、渋渋などの受け皿となりグローバル志向を満たしてくれる学校で、さらに言えば、偏差値が分からず手あかがついていなかった。学校側も期待に応えた」と森上さん。上位校に届かなかった層を取り込むと、一昨年は東大6人、京大5人の合格者を出したことで注目を集めた。

 新勢力で切り札になったのが国際色だ。広尾学園は78人、渋渋と渋幕は30人近く海外の大学に合格者を出しており、森上さんは、「東京の伝統校になくて渋幕にあったのは国際化。ハーバードなど米国の大学に進学というのは渋幕が先鞭をつけた。帰国子女を中心に上手くやり、別の魅力があったのも大きかった。広尾も海外に進学しやすいカリキュラムで、学校に行けばネイティブの専任教員の多さに驚く。充実度が全然違う」と、新興校ならではの魅力を語る。

 大学の新設学部では国際が乱発されているが、それは中学受験でも同じで、大手進学塾のベテランスタッフは、最近の傾向として「なんでも国際とつければいいという流れになっている」と、2文字の威力を力説する。

受験生の親に大学ブランドと、英語、国際の志向が強い。交換留学やネイティブの先生がどれくらいいるか。渋谷系は国際と英語を売りにしていて海外大進学を推し進めていて実績もある。海外大に強い学校は人気」

“国際”は平成の受験界のパワーワードだったのかもしれない。

■進学校の地位を不動にした女子校“新御三家”  

 別学の躍進校で真っ先に挙がるのは豊島岡女子学園(東京)だろう。もとはお裁縫学校で、朝の5分間運針で知られる同校は、30年前に入試日を変更し、御三家などを受ける上位層の併願校としての道を選ぶと、今では女子校最難関の桜蔭(東京)と並ぶまでになった。進学塾スタッフによると、最近では桜陰ではなく、あえて豊島岡を選ぶ子もいるという。「昔ならありえなかった。御三家は自学自習ができる子に向いているが、豊島岡は面倒見が良い。御三家に食い込もうとがんがん鍛えてくれて、実績も上げている」

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