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金田正一の「破天荒すぎる伝説」 プロ初勝利かかる投手を“半強制リリーフ”

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久保田龍雄dot.

国鉄時代の金田正一 (c)朝日新聞社

国鉄時代の金田正一 (c)朝日新聞社

 キャンプインを間近に控え、早くも新シーズンが待ちきれないというファンも多いと思うが、懐かしいプロ野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、現役時代に数々の伝説を残したプロ野球OBにまつわる“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「破天荒すぎる金田正一編」だ。

 通算400勝の大投手・金田正一は、国鉄時代の1957年8月21日の中日戦(中日)で完全試合を達成しているが、記録まであと3人に迫った9回にハーフスイングの判定をめぐり、試合が45分も中断する大騒動に巻き込まれた。

 この日の金田は、前半はカーブ主体でコーナーを突く丁寧な投球、後半は速球を多投し、中日打線を8回までパーフェクト。

 0対0で迎えた9回表、国鉄は1死一、二塁で鵜飼勝美が中前タイムリーを放ち、トラの子の1点を挙げた。あとは最終回を金田が3者凡退に切って取れば、史上4人目の完全試合達成である。

 先頭の代打・酒井敏明に対し、カウント1-2から内角高めの速球を投じると、ハーフスイングのまま見送り。稲田茂球審は「ストライク!バッターアウト!」とコールした。

 ところが、空振り三振でまず1死と思われた直後、中日・天知俊一監督が激しく抗議したことから、雲行きがおかしくなる。完全試合を阻止するために、故意に抗議を長引かせ、金田にプレッシャーをかけようという意図は明らかだった。

 長引く抗議にスタンドの観客も苛立ち、次々にグラウンドに飛び降りたため、混乱はエスカレート。約15分後、ようやく収まったかに見えたが、マイクを手にした稲田球審が「中日側の抗議があったが、認めず試合を再開する」と説明したことから、怒った中日ファン約500人がグラウンドに乱入し、稲田球審を小突くなど大騒ぎ。放棄試合の恐れも出てきた。

 もしそうなれば、主催球団の中日は多額の賠償金を払う羽目になるため、天知監督が「責任は全部私が取るから、どうかファンの皆様、スタンドに戻り、試合を続行させてください」と異例のお願いをして、ようやく沈静化した。

 1死無走者で試合再開後、金田は騒動の余波を引きずることなく、牧野茂、太田文高を連続三振に打ち取り、見事完全試合を達成した。これだけ長時間ゴタゴタが続いたのに、集中力を切らさなかったのは、驚異的と言わざるを得ない。



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