準決勝の試合後にインタビューを受ける大坂なおみ(写真:getty Images)
準決勝の試合後にインタビューを受ける大坂なおみ(写真:getty Images)

 1月24日にテニスの全豪オープン女子準決勝が行われ、世界ランク4位の大坂なおみが、同8位のカロリナ・プリスコバ(チェコ)を下し、決勝戦へと駒を進めた。

 今大会は本人も口にしているように精神的な成長を課題とし、それに向かって努力する様子や、時折コート上で見せるお茶目な行動、そしてコート外でのウイットに富んだ発言で、新たに大坂の魅力に惹きつけられたファンも少ないくないはずだ。

 どちらかというと、“面白い部分”がピックアップされ報じられることの多い大坂。だが、準々決勝の試合後に行われた会見で、準決勝で対戦する可能性があり、“因縁の間柄”でもあったセリーナ・ウィリアムズに関する質問をされた際の受け答えは、今後、「一流アスリート」になる素養を感じさせるものだった。

 常々セリーナを憧れの存在と語ってきた大坂だが、その子供の頃からのアイドルが、因縁の相手となってしまったのは昨年の全米オープン決勝でのこと。大坂はここで、グランドスラム23回の優勝を誇るセリーナを破り、日本人としては初めてグランドスラムシングルスの王者となった。

 本来ならば、大坂が称賛され主役となるところだったものの、セリーナが試合中に見せた審判への悪態がよりクローズアップされる展開に。試合後に行われたコート上での優勝インタビューでもブーイングが巻き起こり、大坂が涙するなど、快挙がかき消される形となってしまった。二人はそれ以降マスコミ的には“因縁の間柄”となった。米大手スポーツ専門局「ESPN」のウェブサイトも、両選手が準々決勝を戦う前日に「セリーナとオオサカ、リマッチまであと1試合」とのタイトルで記事を掲載し、両者の再戦を意識した空気を生み出していた。

 実際にはセリーナが準々決勝で敗れ、再戦の実現とはならなかった。とはいえ、試合後の会見(セリーナは準々決勝の試合中で次の対戦相手は未定のタイミング)ではセリーナとの過去やリマッチの可能性に関する質問が大坂に向けられた。

 ここでマスコミは準決勝を盛り上げるための“何か”を期待していたのだろうが、大坂は「彼女がどうってことは発言できないけど、私にとってセリーナと試合をできることは大きな栄誉であるし光栄なこと」とコメント。さらに「ずっと彼女のことは見続けているの。正直、これまで2回も対戦できたことは、とてもラッキーなことだと感じている。もしまた戦えることになったら、楽しみなだけ」と語り、セリーナへのリスペクトを決して忘れなかった。

次のページ
海外のファンも大坂の発言を称賛