2人目は、西武の松井稼頭央である。イチローと同じく高卒3年目からレギュラーに定着し、97年のオールスターでは1試合4盗塁の新記録を樹立してMVPを獲得。同年、シーズン62盗塁をマークしてリーグ優勝に貢献すると、その後も圧倒的な身体能力を武器にグラウンドを駆け回り、02年には不動の1番打者として打率.332、36本塁打、33盗塁でトリプルスリーを達成。04年からは海を渡って活躍の場をメジャーの舞台へと移した。

 単年ではあるが、07年の巨人の1番打者、高橋由伸も忘れてはならない。原辰徳監督の下、開幕から「1番・ライト」で起用されると、その開幕戦でいきなり初球先頭打者アーチ。その後もシーズンを通して打棒を発揮し、打率.308、35本塁打、88打点をマーク。シーズン記録となる9本の先頭打者アーチを放ち、リーグ優勝に貢献した。

 以降、10年代に入ってからも、ヤクルトの山田、青木宣親、巨人の坂本、長野久義、ロッテの西岡剛、日本ハムの陽岱鋼といった魅力的なトップバッターが出現したが、その中で阪神のマートンは来日1年目の10年に開幕から1番打者として打ちまくり、6月、7月と打順を3番に変えていた時期があったが、8月以降は再び1番に戻ってヒットを重ね、最終的に当時の日本記録となるシーズン214安打をマーク。打率.349、17本塁打、91打点の好成績を収めた。そしてその日本記録を、西武の秋山が15年にシーズン216安打を放って塗り替えたのだ。試合の最初に打席に入る1番打者は、チームの顔と言っていっていい。彼らの存在と打線における重要度は、今後さらに大きくなっていくはずだ。