人口減は、野球というイベントを行っていく上で、観客動員やスポンサー数の減少にも完全にリンクしてくる。人口全体のパイが縮小するのだから、選手の数も当然ながら減っていく傾向にもある。こうした負のデータを踏まえても、地方をベースとする独立リーグというビジネスの将来は、決して明るい見通しではないのだ。

 ならば、どうするのか--。

 手をこまねいているわけにはいかない。そうした危機感を両リーグが共有しているからこそ、今回の「合同トライアウト」という発想も生まれてくるわけだ。

 坂口理事長の説明も明確だ。

「狭いマーケットで、選手の取り合いとかマネーゲームをしたくない。スタッフの数にしても、かけられる費用に限界もある。だったら、このトライアウトにしても、一緒にやれるなら、それがいいんじゃないかと。受験者にとっても、多用な選択肢を与えることができますからね」

 トライアウトの方式や、選手獲得のルールなど、両リーグでの違いは、もちろん存在している。例えば、トライアウトのエントリーの際に、選手から「希望球団」として選択されている場合、球団は「特別合格」とし、トライアウトの受験を免除させることができる。その人数が、四国ILでは各球団「無制限」、BCLは各球団「5人」だったが、これを四国側に合わせて、今回は「無制限」となった。

 また、11月22日の合同ドラフト会議に関しても、出身地や出身校、帰省先が球団の本拠地に該当する2選手までを、地元枠として「特別合格」とするのはBCLの規定で、四国ILにはなかった。これはBCL側が「のんでもらわないと一緒にやれない」と主張し、これはBCL側の希望が受け入れられている。

 そうしたすり合わせは「ホントに大変でした。理念も条件も、四国さんと全く同じではないわけですから」とBCL・小松原鉄平事務局長は明かす。それでも「とにかく、まずは一回やってみることが大事だと思った」。“小異”は捨てるという割り切りができるかできないかは、こうした“合同事業”における成否のカギを握るのだろう。

 エントリー人数も、丸亀会場には約100人、関東会場では約200人。小松原事務局長によると、BCL単独でのトライアウトだった昨年の170~180人からは増加しているという。またエントリー時に、選手には希望リーグを選択できるようにしているが、リーグを指定した選手は2割程度にとどまっている。「独立リーグ」でのプレーを希望する受験者にとっては、四国ILなら4、BCLなら11だが、全体なら15という“選択肢の拡大”で「全体のパイを広げられたと思います」と小松原事務局長も分析している。

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「ビジネスとしての発展」が必要不可欠