Aリーグ活性化の起爆剤としてのみならず、本田がアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の拡大、ひいてはアジアサッカー全体の地位向上に寄与する存在だと見る向きもある。

「ACLにさらに5、6社のスポンサーがつけば、大会がよりブランド化され、UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)に近づく」と発言するのは、地元紙「ヘラルド・サン(Herald Sun)」のデイビッド・ダビュトビッチ記者だ。7年にわたってメルボルンVをフォローし、本田が豪州に赴いてから2度もインタビューした実績がある。

 同記者は“本田効果”について、以下のような期待を寄せている。

「ホンダは2020年東京五輪を目指すと公言していますが、メルボルンVに来た理由はそれだけじゃない。ACLで日本のクラブと戦うことに大きな意義を感じているからです。『2007年末に名古屋グランパスを離れてから、僕は一度もJリーグのクラブと試合をしていない。17-18シーズンのAリーグ王者であるメルボルンVに入れば、2019年ACLに参戦できるし、Jクラブと1次リーグで同組になる可能性は高いし、久しぶりに日本で試合ができると思います』と本人も楽しみにしている様子でした。ホンダの日本凱旋となれば、日豪のみならず、アジア全体、欧州のメディアも注目する。そうやって彼が広告塔になることで、ACLが再評価されれば、大会自体の価値が上がる。アジアのレベルアップにもつながるでしょう」

 確かに、本田がわざわざ発展途上のAリーグを新天地に選んだのは、破格の高年俸やビジネス的メリットだけではないはず。これまで欧州やメキシコで養ってきた経験値を還元したいという思いが少なからずあるだろう。今年8月からカンボジア代表の事実上の監督を無給で務めているのも、「アジアのサッカー環境を整え、クオリティーを引き上げ、世界トップに少しでも近づけたい」という考えが強いからだ。本田の自由な発想や、オフ・ザ・ピッチの活動を認めてくれるメルボルンVというチームにいれば、さまざまなアプローチが可能だろう。ACLのブランド化というのも、本田が視野に入れているテーマの1つかもしれないのだ。

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本田、代表復帰の可能性は?