本田のメルボルンVとの契約は1年だが、クラブが来年のACL1次ラウンドで勝ち上がり、決勝トーナメントに進めば、契約延長の話がおのずと出るだろう。メルボルンVがACL制覇を果たし、本田も2020年夏までプレーし続けた後に、オーバーエージ枠で大きな夢である東京五輪に出場することになれば、まさに理想的なシナリオだ。

「カンボジアとの契約も2020年夏までと聞いている。あえて、そこでいったん契約を打ち切るのも、再び日本代表のユニホームを着ることに何の支障もない状態にするためではないかと思います。東京五輪でサッカー選手としての集大成を飾り、現役を退くことができれば、彼にとっては完璧なシナリオ。そこまで考えているとしたら、ホントにすごい男だなと思いますね」

 前出のダビュトビッチ記者は臆測を交えて、このように語っているが、ワールドカップ3大会4ゴールの偉業を達成した本田なら、困難なハードルもクリアしてしまいそうな気がしてくるから不思議だ。

 本田自身は「A代表? 行くつもりはないですね。呼ばれたら? 呼ばれないと思います。行くつもりがないんで」とA代表を経由せずに五輪だけに突き進む考えだ。ただ、今の日本は森保一監督がA代表とU-21日本代表を兼務している。オーバーエージを呼ぶとしても、自分のやり方に慣れたA代表経験者を入れる可能性が高い。

 そんな日本の事情を熟知する「ラガーデラ・スポーツ(Lagardere Sports)」アジア版を担当するポール・ウィリアムス記者は「全てはモリヤス次第」と語る。

「最近の日本代表には若いタレントが何人も入ってきている。ホンダにチャンスがないとも言えないけど、若返りが進んでいるのは確かでしょうね。それにホンダが守備的MFをやろうと考えているのなら、少しタフかもしれない。彼のキャリアを考えると、前目の仕事で結果を出してきた選手だし、守備面はもっとトライすべき点があるんじゃないかな」

 2年後の本田がどうなっているか。それは誰にも分からない。ただ、本人は業務提携した帝京大学から派遣されたトレーナーと走力アップを含めたフィジカル強化に励んでいる。彼がピッチ上で圧倒的なインパクトを残し続けることが、豪州サッカーに関わる全ての関係者をハッピーにする。その事実だけは間違いないだろう。(文・元川悦子)