広島とソフトバンクの今シーズンの主な成績。年俸総額は2018年のもの(労組日本プロ野球選手会調べ。選手会入会者のみ)
広島とソフトバンクの今シーズンの主な成績。年俸総額は2018年のもの(労組日本プロ野球選手会調べ。選手会入会者のみ)

 広島とソフトバンクによる日本シリーズで熱戦が続いている。強力打線でセ・リーグ3連覇を達成した広島。一方、昨年の日本一であるソフトバンクは、投打でケガ人が相次ぎ、8月までは4位に沈むこともあった。それでもシーズンを2位で終えると、クライマックスシリーズ(CS)で西武ライオンズを撃破。日本シリーズ進出を決めた。

【ランキング表】広島vs.ソフトバンク 選手年俸ランキング

 それぞれのリーグで黄金時代を迎えている両チーム。しかし、球団経営では似ているところも、違うところもある。そして、強さのウラには弱点も。選手たちの年俸ランキングから、常勝軍団の現在と未来を分析してみたい。

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 ソフトバンクの球団所属選手の18年度年俸総額は、12球団中1位の47億7392万円(労組日本プロ野球選手会調べ、選手会入会者のみ)。それもそのはず、ソフトバンクは2014~17年の4年間でリーグ優勝3回、そのすべてで日本シリーズを制した。優秀な成績をあげた選手たちを球団に引き留めようとすれば、年俸も自然と上がっていく。

 ソフトバンクと広島の選手年俸ランキングの表を見てもらえばわかる通り、上位9人はソフトバンク勢が占める。広島にはジョンソン(3億4500万円)しかいない3億円以上の選手が、ソフトバンクには9人いる。1億円以上のプレーヤーはソフトバンクの17人に対し、広島は9人だ。

 その理由はシンプルだ。まず、ソフトバンクは常勝軍団を維持するために他球団からの選手獲得に余念がない。それが年俸高騰の一因になっている。

 外国人では、広島と西武を経て入団したサファテ(5億)やロッテから移籍したデスパイネ(4億)がいる。さらには横浜からFA移籍した内川聖一(4億)、ヤクルトからメジャーに挑戦し、ニューヨーク・ヤンキースなどを経て日本球界に復帰した五十嵐亮太(3億6000万)。もともとはソフトバンクに所属していたが、メジャーを経た後に古巣に復帰した和田毅(4億)も移籍組だ。

 広島の1億円以上の日本人選手は、移籍組は新井貴浩(1億1000万、広島→阪神→広島)の1人だけ。新井以外でも、中心選手の移籍組は中継ぎ投手として活躍する一岡竜司(5300万)ぐらいだ。ちなみに、一岡はFAでも交換トレードでもなく、FAで広島から巨人に移籍した大竹寛の人的補償だった。広島は、他球団とマネー合戦を展開して補強をすることはしない点で一貫している。

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ソフトバンクが高額年俸を支払える理由