安室奈美恵
安室奈美恵
平賀哲雄さん(撮影/金城珠代)
平賀哲雄さん(撮影/金城珠代)

 言わずと知れたスーパースター、安室奈美恵。だが彼女の25年間を通して語れる音楽関係者は意外と少ない。自称「安室オタク」の音楽ライター・平賀哲雄さん(40)に聞いた。安室奈美恵が日本の何を変えたのか――。

【画像】ラジオの収録で見せた安室奈美恵の笑顔

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――平賀さんは安室さんの地元・沖縄で「安室奈美恵を語る会」を開いていますが、どんな思いだったのでしょうか。

 ファン同士で語り合いたいという声もあり、誰にも上手く伝えられない思いを吐き出す場になればいいなという思いがありました。僕はあくまでMCで、ファンの人を壇上にあげて「あなたにとって安室奈美恵とは? 引退をどう思った?」とインタビューするスタイルにしました。それぞれのストーリーを聞きながら、泣いたり笑ったり、シンガロングが起きたりしたらいいなと思っていたんですが、それが開始から5分で実現したんです。安室ちゃんの曲を聞きながら安室ちゃんについて語ったら、自然と涙が出たり、笑ったり、歌って踊り出したりしてしまうんですよ。

 20代の女性は小学生のときに初めて動画を見た瞬間に「この人、すごい」と衝撃を受けてファンになったと振り返ってくれて、ずっと引退を受け止められなかったけれどラストツアーに行って「笑顔で送り出さないといけない」と思ったと涙ながらに話してくれました。

 父親がアメリカ人だという40代の女性は、肌の色がみんなと違うのが恥ずかしいと思っていたけど、日に焼けた安室ちゃんの姿と、コンプレックスをさらけ出したような歌詞に自分も堂々と生きていこうと勇気づけられたと言っていました。

 また、語る会と別の機会に話した地元の40代の女性ファンの方が「彼女が沖縄っぽさを売りにすることなく、ポップアイコンとして日本に受け入れられ成功していくことが沖縄を変えた」と話していたのは印象的でした。沖縄の女の子はカッコいいんだ、全然引け目や劣等感を持たなくてもいいんだと思ったそうなんです。

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いまでは貴重な女優時代の安室ちゃん