大阪桐蔭・根尾 (c)朝日新聞社
大阪桐蔭・根尾 (c)朝日新聞社

 100回目の夏に、甲子園史上初の「2度目の春夏連覇」をかけて臨んでいる王者・大阪桐蔭が、浦和学院との準々決勝を11-2の大差で制し、順当に準決勝へ進出した。投打の二刀流・根尾昂(3年)をはじめ、攻走守の三拍子揃った外野手で4番打者・藤原恭大(3年)のドラフト1位候補に、今大会で151キロをマークした、こちらもドラフト上位候補のエース・柿木蓮(3年)らは、その高い評判にたがわぬ活躍を続けている。

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 その「タレント軍団」を追うプロのスカウトが、この夏、過去にあまり見られなかった“異例の行動”を見せている。それはいかに、大阪桐蔭の選手たちのレベルが高いのかという、1つの証明でもある。

 プロのスカウト陣は通常、全出場校を甲子園で一度ずつ見る。つまり、1回戦と2回戦の途中まで、7~8日間にわたって甲子園に通い詰める。この時点で、各球団の高校生の評価は都道府県大会で敗退した選手たちを含めて、ほぼ終わっている。大舞台でいかに普段の力が出せるか、全国レベルの投手や打者に対して、どういうパフォーマンスができるのか。上位候補の選手に関しては、そうした最終チェックと、担当外のスカウトの目でも確認する「クロスチェック」の場にもなる。さらには1、2年生ら、来年以降の逸材に目星をつける意味合いが大きい。

 だから、全試合をくまなく、徹底的に視察するわけではない。ドラフト候補選手や逸材が見当たらない学校に関しては、シートノックで守備力を一通りチェックすると、その試合の3回くらいまで、つまり打順が一回りするまで視察する程度にとどまることもある。

 出場校がすべて出た時点で、各球団は全スカウトによる会議を行い、高校生のリストを洗い直す。この“再評価リスト”を作った上で、今度は秋の大学リーグ、社会人の日本選手権へ向けた予選などを視察するため、スカウトたちは再び全国へ散っていく。

 そのルーティンに、実はこの夏、大きな変化が見られたのだ。

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大きな変化とは…