横川は、柿木、根尾の存在でどうしても目立たない。2年生だった昨春の甲子園2回戦、静岡戦で先発しながら、1死しか取れずに5失点で降板。それでも、身長190センチの恵まれた体格にその高いポテンシャルを見いだす球団は多く、「特にウチは今、若い左投手がいないので」と谷口スカウト。オリックスの左腕の最年少は21歳だけに、将来性を見込んだ下位指名なら十分に可能性がある候補選手の一人だ。

 大阪桐蔭の西谷浩一監督は2回戦の沖学園戦の後、横川が西谷監督の宿舎の部屋を訪れ「僕に投げさせてほしい」と直訴してきたことを明かし「そういうところがなかった子。大きな成長が見られました」と喜んだ。高岡商戦は5回1失点。2回に3四死球が絡んでの1失点も、最小失点で踏みとどまった。ただ、最速は137キロ止まり。谷口スカウトには、ちょっと物足りなかったのは確かなようで「腕が長すぎるのかな? 試合中に修正が効かなくなるときがありますね。球を置きに行ってしまうのか、6分くらいで投げている感じなのかな? バタバタして、ちょっとやばいかなとも思いました。でも、スピードはもっと出ますね」

 その寸評は“伸びしろあり”と受け取れるものでもある。それにしても、3番手投手を見るためにスカウトが甲子園に“戻って来る”のだ。準々決勝の浦和学院戦も、噂のドラフト候補生たちがその魅力を存分に見せつけた一戦となった。

 藤原は本塁打を2本。3回の一塁内野安打でも、打ってから一塁まで「4秒19」。メジャーや日本のスカウトたちが俊足の基準に置く、一塁までの到達タイムは「4秒3未満」。つまり、足もすでにプロレベル。2回戦の沖学園戦で左中間にたたきこんだ一発に続き、準々決勝では5回に右、8回にはバックスクリーン。今大会ですでに3方向に本塁打をたたき込んだ。根尾も浦和学院相手に先発し、5回2失点でゲームを作り、2回には左中間へ先制本塁打。6回からリリーフした柿木は、4イニングを1安打無失点。最後の50球目には150キロもマークした。

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大記録まであと2つ…