こうしたなかで医学部志望の女子の成績は抜群に良いと、大手予備校関係者は口をそろえる。「東大京大に入れる女子は、医学部をめざす」という話を、地方の進学校教諭からどれだけ多く聞いたことか。

 東京医科大で女子合格者の「調整」が発覚したあと、国公私立大学問わず、いくつかの医学部に疑惑の目が向けられている。

 筆者も1980年代から、女子を多くは受け入れない大学があるという噂を聞くようになった。とくに女子受験生が多い割に、女子の合格者が少ない大学である。心当たりがある大学は、その全容をつまびらかにしてほしい。

 佐賀大では女子が多いことを誇りに思っており、将来、医師になる彼女たちを積極的に後押ししている。同大学医学部附属病院の山下秀一病院長がこう語っている。

「本学医学部は女性の比率が4割と他の医学部に比べて高いのも特徴です。このため、女性医師が結婚、妊娠、出産、子育てを迎えてもリタイアすることなく働き続けられるようなサポート体制として『ダイバーシティ対策室』が今年からスタートしています。女性医師を支える体制づくりには病院も一緒に取り組みます。例えば、出産、子育てを経て現場に復帰する際の制度で、当院独自の『復帰女医制度』も設けました」(「九州医事新報」2016年11月号)

 こういう大学こそ国は高く評価し、財政面で積極的に支援すべきであろう。

(文/小林哲夫教育ジャーナリスト)