1970年代、地域医療の質の向上を目的とした「一県一医大構想」(医科大がなかった15県に医科大・医学部を整備)などを受けて、愛媛大、佐賀大、島根大、秋田大に医学部がつくられた(当時、佐賀大、島根大の医学部は、佐賀医科大、島根医科大として開学。2000年代に佐賀大、島根大と統合)。

 13位山形大、14位福井大も「一県一医大構想」の産物である。

 1970年以降設置の医学部についてこんな見方がある。秋田大医学部教授の話だ。

「医学教育の古いしきたり、悪しき伝統にとらわれず、女子を調整しようなんて発想はなく、むしろ応援したいと考えている。ランキングは、その大学に女子が多いから、女子受験生が集まるという循環の結果が示されたと思います」

 なお、上位15校では、11校が1970年以降につくられている。残りの4校=9位鳥取大、東邦大、12位関西医科大、15位弘前大は、戦前または戦中に旧制の医学専門学校として設置された。

 ところで、大学の成り立ちから女子が多いところがある、東邦大、関西医科大だ。

 東邦大の起源は、1925(大正14)年設立の帝国女子医学専門学校にさかのぼる。NHKの連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(2012年)で堀北真希が演じた女性医師の出身校「城南女子医学専門学校」は、同校がモデルとなっている。関西医科大は、1928(昭和3)年設立の大阪女子高等医学専門学校が起源だ。

 東邦大、関西医科大は開学時の教育理念として女性医師育成を高らかにうたいあげた。女子「調整」とは無縁である。

 医学部医学科女子学生比率が高い上位15校の入試難易度はどうか。難易度で言えば、医学部のなかでいわゆる中堅大学が少なくない。これをもって、「女子が受かりやすい」大学が並んだのではという見方もあろう。

 現実問題として、大手予備校の入試資料を見ると、ここ数年の医学部人気で、どの大学の医学部もやたらと難しくなっていることがわかる。1970年代、裏口入学が横行した一部の新設私立大学医学部に対する負のイメージはほとんどなくなっている。どこの大学医学部であろうとも相当な学力がないと合格できない。

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東大京大に入れる女子は医学部目指す